介護職の転職理由は、面接で必ず聞かれる項目です。転職理由を上手に伝えることで、採用担当者に好印象を与えることができます。しかし、どのように伝えればよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護職の転職理由のランキングや、面接での伝え方のポイントについて紹介します。例文も提示しているので、自分の転職理由を言語化する際の参考にしてください。
介護職の転職理由ランキング
厚生労働省が実施した令和3年度「介護労働実態調査」によると、介護職の転職理由のTOP5は以下のようになっています。
- 職場の人間関係に問題があったため
- 結婚・出産・妊娠・育児のため
- 将来の見込みが立たなかったため
- 収入が少なかったため
- 他に良い仕事・職場があったため
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1.職場の人間関係に問題があったため
介護職の転職理由の1位は、職場の人間関係に問題があったためで、全体の18.8%を占めています[^1^][1]。介護の仕事はチームで働くため、上司や同僚、他事業所のスタッフ、利用者、家族など、仕事で関わる人はさまざまです。どこかで人間関係が崩れてしまうとモチベーションが下がり、仕事に前向きに取り組めなくなった結果、退職にいたるケースがあります。
特に上司や同僚とのコミュニケーションがうまくとれないと、利用者さんに快適なサービスを提供できません。実際の退職理由としては1位ですが、面接の際に人間関係の問題を言及するのは避けるべきでしょう。採用担当者は、自分たちの職場でも人間関係に問題を起こすのではないかと不安に感じる可能性があります。
2.結婚・出産・妊娠・育児のため
介護職の転職理由の2位は、結婚・出産・育児によって、それまでと同じ働き方ができなくなってしまうケースです。ライフスタイルが変化することで「夜勤ができなくなった」「主任を任されていたけど産休明けは正社員では働けずパートになった」など働き方が変化したり、結果的に退職したりする方もいます。
また、保育園や学童などの都合で働ける時間が限られたり、子どもの体調不良で突発的に欠勤したりするケースもあるので、融通のききやすい職場にスタッフが集まる傾向があります。面接でこの理由を伝える際には、今後の働き方の希望や、子育てと仕事の両立に対する意欲をアピールすると良いでしょう。
3.将来の見込みが立たなかったため
介護職の転職理由3位は、自分の将来の見込みが立たなかったためです。「収入が上がる見込みが低く、将来に不安を感じる」「身体的な負担から介護職を何年続けられるかわからないけど、キャリアアップが見込めない」など、経済面やキャリアの面で不安を感じてしまう方は多くいます。
将来的に相談員やケアマネジャーなどへのステップアップを考えていても、事業者内のポストが少ないこともあり思うようにステップアップできないこともあるでしょう。そのため、自分の将来のキャリアに見込みが立たないと、転職を考えるきっかけになると言えます。面接でこの理由を伝える際には、応募先でのキャリアプランや、自己研鑽の努力などをアピールすると良いでしょう。
4.収入が少なかったため
介護職の転職理由の4位は収入が少なかったためです。介護保険事業所の収入には公費も使われているので、大幅な給料アップは望みにくいです。処遇改善関連の加算が整備され、介護職の待遇は改善されつつあるとはいえ、給与面に不満を感じる方は一定数います。
ギリギリの人数で、多くの利用者の方の対応や記録などに追われ忙しいにもかかわらず、自分の考えているよりも収入が少ないと転職を考える理由になるでしょう。面接でこの理由を伝える際には、応募先の給与水準や、給与アップのための評価制度などに興味があることをアピールすると良いでしょう。
5.他に良い仕事・職場があったため
介護職の転職理由の5位は、他に良い仕事・職場があったためです。 これまでの説明のように、人間関係や収入、キャリアなど、介護職に不満を感じる要因は多くあります。しかし、それらの要因を解消するために、他の仕事や職場に目を向ける方もいます。例えば、「自分のスキルや経験を活かせる仕事があった」「福利厚生や環境が整っている職場があった」「自分の理想とする働き方ができる職場があった」など、自分にとって良い仕事・職場が見つかったという理由です。
この理由は、自分のキャリアや将来に対する意欲や希望を伝えることができるので、面接での印象は良いと言えます。ただし、応募先の仕事や職場について具体的に知っていることや、自分のスキルや経験がどのように活かせるかなど、具体的な根拠を示す必要があります。また、以前の職場を悪く言ったり、比較したりするのは避けるべきです。
介護職の転職理由の伝え方のポイント
介護職の転職理由を面接で伝える際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 前向きな理由を伝える
- 具体的な事例や根拠を示す
- 応募先の仕事や職場に対する興味や適性をアピールする
- 以前の職場を悪く言わない
- 自分の成長や貢献に対する意欲を伝える
前向きな理由とは、自分のキャリアや将来に対する希望や目標、自分のスキルや経験を活かしたいという理由などです。逆に、後ろ向きな理由とは、人間関係や収入などの不満や、仕事に対するモチベーションの低下などです。後ろ向きな理由は、採用担当者に不安や疑問を抱かせる可能性が高いので、避けるべきです。
具体的な事例や根拠とは、自分の転職理由に対して、どのような経験や思考があったか、どのような行動をとったか、どのような結果や反省があったかなどです。具体的な事例や根拠を示すことで、自分の転職理由が本当に納得できるものであることや、自分の言動に責任を持っていることを伝えることができます。
応募先の仕事や職場に対する興味や適性とは、自分が応募した仕事や職場について、どのような魅力やメリットがあると感じているか、自分のスキルや経験がどのように活かせるか、どのようなことを学びたいか、どのようなことに挑戦したいかなどです。応募先の仕事や職場に対する興味や適性をアピールすることで、自分がその仕事や職場にマッチしていることや、仕事に対するモチベーションが高いことを伝えることができます。
以前の職場を悪く言わないとは、自分の転職理由に関係する以前の職場について、否定的な言葉や感情を表現しないことです。以前の職場を悪く言うと、採用担当者は、自分がその職場に不適合だったのではないかと疑ったり、自分が応募先の職場でも同じように悪く言うのではないかと不安に感じたりする可能性があります。そのため、以前の職場に対しては、感謝や尊敬の気持ちを表現したり、そこで得た経験やスキルを肯定的に評価したりすることが望ましいです。
自分の成長や貢献に対する意欲とは、自分が応募先の仕事や職場で、どのように自分自身を成長させたいか、どのように利用者や職場に貢献したいか、どのような目標やビジョンを持っているかなどです。自分の成長や貢献に対する意欲を伝えることで、自分が仕事に対して前向きで積極的であることや、自分が応募先の仕事や職場にとって価値のある人材であることを伝えることができます。
まとめ
介護職の転職理由は、面接で必ず聞かれる項目です。転職理由を上手に伝えることで、採用担当者に好印象を与えることができます。この記事では、介護職の転職理由のランキングや、面接での伝え方のポイントについて紹介しました。例文も提示しましたので、自分の転職理由を言語化する際の参考にしてください。
介護職の転職理由は、自分のキャリアや将来に対する希望や目標、自分のスキルや経験を活かしたいという前向きな理由を伝えることが重要です。また、具体的な事例や根拠を示し、応募先の仕事や職場に対する興味や適性をアピールし、以前の職場を悪く言わず、自分の成長や貢献に対する意欲を伝えることがポイントです。面接での転職理由の伝え方には、自分の言葉で説明できるように、事前に準備しておきましょう。