介護現場では、利用者や家族、スタッフとのコミュニケーションが重要です。コミュニケーションは、利用者の思考や感情に刺激を与え、安心感や満足感を高める効果があります。また、トラブルやアクシデントを防ぐためにも、適切な情報共有が必要です。この記事では、介護現場でのコミュニケーションの種類やコツ、話題の作り方などを紹介します。
介護で必要なコミュニケーションの種類
コミュニケーションには、言葉や文字を用いる言語的コミュニケーションと、表情やジェスチャーなどを用いる非言語的コミュニケーションがあります。介護現場では、利用者の状態や特徴に合わせて、両方のコミュニケーション方法を使い分けることが重要です。
- 言語的コミュニケーション：相手に思いや考えを直接伝えるのに有効的です。細かな言葉の表現を用いることで、痛みの程度などを正確に把握することに向いています。しかし、細かく正確に伝えようとするほど、情報量が多くなりやすいというデメリットもあります。
- 非言語的コミュニケーション：言葉に頼らないコミュニケーション方法です。会話が上手くできない方や理解力が低下している方に対して情報を伝達するとき、非言語的コミュニケーションが有効的です。わかりやすく、直感的な理解がしやすい特徴を持ちます。
介護のコミュニケーションにおいて大切なこと
介護のコミュニケーションを円滑に行うには、信頼関係を築くことが大切です。相手が求めていることを理解し、寄り添う姿勢が求められます。また、相手によって求めていることは異なるため、それぞれ対応を変える必要があるでしょう。以下に具体的なポイントを挙げます。
- 相手が求めていることを理解する：「話を聞いてほしい」「意見がほしい」など、求めていることによって対応が変わります。話を聞いてほしい場合は、できる限り相手の話を遮らないようにしましょう。意見がほしい場合は、まず相手が何に対して意見を求めているのかを明確にしましょう。
- 傾聴・共感で相手に寄り添う：傾聴と共感は介護のコミュニケーションで重要な技術です。傾聴とは、ただ話を聞くだけでなく、相手が話をしやすい状態を整えることです。共感とは、ただ理解を示すだけでなく、「自分が相手と同じ状況になったとき」を想像し、相手が何を感じているのかを共有することです。
介護現場のコミュニケーションの難易度と対処法
介護現場では、認知機能が低下している人や、介護を嫌がる人など、コミュニケーションが難しい場合もあります。そうした場合には、以下のような対処法が有効です。
- 認知機能が低下している人との関わり：認知機能が低下している人は、現実との区別がつきにくくなっている場合があります。そのため、否定的な言葉や論理的な説明は避けるほうがよいでしょう。代わりに、相手の話に共感を示したり、話題を変えたりすることで、気分を落ち着かせることができます。
- 介護を嫌がる人・興奮している人との関わり：介護を嫌がる人や興奮している人は、自分の意思を尊重してほしいという気持ちが強い場合があります。そのため、強制的に介護を行ったり、無視したりするのは避けるほうがよいでしょう。代わりに、相手の気持ちを受け止めたり、選択肢を提示したりすることで、協力的な態度に導くことができます。
コミュニケーションスキル向上のための実践的な技術
コミュニケーションスキルを向上させるためには、実践的な技術を身につけることが必要です。以下に具体的な技術を挙げます。
- 順序を考えて話す：伝える順序をよく考え、筋道を立てて話すことが大切です。その際に自分から一方的に話すのではなく、話をいくつかに区切ることも大切です。また利用者が話しやすい雰囲気を作り、質疑応答も交えるのもいいですね。
- 相手の言葉を繰り返す：言葉を繰り返す動作には、相手を安心させ、会話の意欲を引き出す効果があると言われています。ただしオウム返しではなく、重要だと思うことを繰り返すこと。声の大きさや抑揚などをできるだけ相手に近づけることも効果的です。
- 聞き上手になる：介護の現場では、利用者の話を聞くことが大切です。聞くことで、利用者の気持ちや状態を理解することができます。聞き上手になるためには、以下のことに注意しましょう。
- 相槌やうなずきをする：相槌やうなずきは、相手に興味や関心を示すことができます。また、相手の話に同調していることを伝えることができます。ただし、相槌やうなずきは適度に行うことが大切です。やりすぎると、相手に不信感や不快感を与える可能性があります。
- 質問や感想を述べる：質問や感想を述べることで、相手の話に対する理解度や関心度を高めることができます。また、相手の話を引き出すことができます。ただし、質問や感想は相手の話の流れに沿って行うことが大切です。話の本筋から外れたり、自分の話に持っていったりすると、相手に不快感や不満感を与える可能性があります。
まとめ
介護現場でのコミュニケーションは、利用者や家族、スタッフとの信頼関係を築くために重要です。コミュニケーションには、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションがあり、利用者の状態や特徴に合わせて使い分けることが必要です。また、コミュニケーションスキルを向上させるためには、実践的な技術を身につけることが必要です。介護のコミュニケーションは、利用者の思考や感情に刺激を与え、安心感や満足感を高める効果があります。介護の質を向上させるためにも、コミュニケーションには十分に注意しましょう。
