高齢者専用賃貸住宅（高専賃）とは、高齢者限定の賃貸住宅で、バリアフリーやサービスに関する規定はありません。現在は高優賃、高円賃と共に「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化されていますが、まだ運営を続けている施設もあります。この記事では、高齢者専用賃貸住宅のメリット・デメリットや費用、入居基準などを解説します。
高齢者専用賃貸住宅のメリット・デメリット
高齢者専用賃貸住宅のメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 高齢者が契約しやすい：一般的な賃貸住宅では、高齢者への賃貸を渋る貸し手も多いですが、高齢者専用賃貸住宅では、60～70代の方でも契約しやすいです。
- 高齢者が住みやすい：当初から高齢者が住まうことを前提とした造りのため、日常生活におけるハード面での不便が少ないです。居室にはキッチンやトイレ、浴室などが設置されています。
- 入居者の権利が守られている：都道府県単位で住居の情報が登録されており、高齢者が安心して日常生活を送ることができるように居室や設備の条件が定められています。
一方、高齢者専用賃貸住宅のデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 保証金が高い：一般的な賃貸住宅よりも保証金が高額に設定されている場合がほとんどです。数百万～数千万円の保証金が必要になることもあります。
- 家賃が高い：一般的な賃貸住宅よりも家賃が高額に設定されている場合がほとんどです。月額利用料は6万～50万円程度とかなり差があります。
- 連帯保証人を求められる：入居にあたっては、多くの場合、連帯保証人と身元引受人が求められます。連帯保証人は、入居者が家賃や共益費などを滞納した場合に、代わりに支払う義務があります。
- 重度の介護状態では、基本的に住み続けられない：高齢者専用賃貸住宅は、主に自立（介護認定なし）あるいは軽度の要介護状態の高齢者を受け入れています。重度の介護が必要となった場合は、住み続けることができません。
高齢者専用賃貸住宅の費用
高齢者専用賃貸住宅の入居には、多くの場合、初期費用（保証金）と月額費用が必要になります。施設の場所や設備によって、初期費用は数百万～数千万円、月額利用料は6万～50万円程度とかなり差があります。下記は目安となります。
| 初期費用 | 月額費用 |
|---|---|
| 数百万～数千万円 | 6万～50万円 |
高齢者専用賃貸住宅の入居基準
高齢者専用賃貸住宅の入居基準は、施設によって「身の回りの世話ができる」「共同生活が営める」など様々です。詳細は施設に問い合わせてください。一般的な入居基準は以下のようになります。
| 年齢 | 介護レベル | 認知症 | 共同生活 | 収入・資産 |
|---|---|---|---|---|
| 特になし | 自立～軽度の要介護 | 基本、対応しない | 必須でない | 支払可能かチェック |
高齢者専用賃貸住宅の提供されるサービス
高齢者専用賃貸住宅では、高齢者向けに一定基準を満たした居室や共用スペースを提供しています。また一部の施設では、外部の事業者による見守り、食事・掃除・洗濯の世話、緊急時の対応、入浴・食事・排泄の介護などのサービスが提供されています。提供されるサービスは以下のようになります。
| 生活の援助 | 身体の介護 | 身体の機能回復 | 医療処置 |
|---|---|---|---|
| △ | △ | △ | △ |
高齢者専用賃貸住宅の設備
高齢者専用賃貸住宅には、基本的な設備である居室のほか、施設によっては食堂と共同リビングを兼用する共同生活室などの設備が備えられています。居室は、一般的な賃貸住宅と同様に、キッチンやトイレ、浴室などが設置されています。また、高齢者の安全や快適さを考えて、バリアフリー設計や防犯設備、緊急コールシステムなどが備わっています。共同生活室は、入居者同士の交流やレクリエーションの場として利用できます。また、一部の施設では、共同生活室にテレビや図書、パソコンなどが設置されています。食堂は、自炊が困難な入居者に対して、朝食や昼食、夕食を提供しています。食事の内容や料金は施設によって異なります。また、一部の施設では、食堂にカフェやコンビニなどが併設されています。
高齢者専用賃貸住宅のまとめ
高齢者専用賃貸住宅は、高齢者限定の賃貸住宅で、バリアフリーやサービスに関する規定はありません。現在は高優賃、高円賃と共に「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化されていますが、まだ運営を続けている施設もあります。高齢者専用賃貸住宅のメリットは、高齢者が契約しやすく、住みやすく、入居者の権利が守られていることです。デメリットは、保証金や家賃が高く、連帯保証人を求められること、重度の介護状態では住み続けられないことです。高齢者専用賃貸住宅の費用は、初期費用が数百万～数千万円、月額利用料が6万～50万円程度です。入居基準は、施設によって異なりますが、一般的には年齢や介護レベル、認知症の有無、共同生活の可能性、収入・資産などがチェックされます。高齢者専用賃貸住宅では、居室や共用スペースのほか、一部の施設では見守りや食事・掃除・洗濯の世話、緊急時の対応、入浴・食事・排泄の介護などのサービスが提供されています。高齢者専用賃貸住宅は、自立～軽度の要介護の高齢者にとって、安心して暮らせる住まいの選択肢の一つです。
