コロナウイルスの感染拡大により、介護施設では感染防止のための厳しい対策が求められています。しかし、その一方で、介護事故や虐待が多発しているという深刻な問題も浮かび上がっています。
この記事では、最近起きた介護事故の事例や原因、そして介護事故を防ぐための対策について紹介します。
最近起きた介護事故の事例
ここでは、2023年から2024年にかけて報道された介護事故の事例をいくつか挙げます。
- 佐賀市の国道で、デイサービスの送迎車に乗っていた利用者2人が死亡した。現場は信号機のない五差路の変形交差点で、交通量も多くて地元では危険箇所と言われていた[^1^][1]。
- 神戸市の高齢者福祉施設で、利用者の頭を殴りけがをさせたとして、この施設に勤務する介護士の女が逮捕された。警察の調べに対し、容疑を認めているという[^2^][2]。
- 千葉県九十九里町の老人ホームで、入所者の女性をリモコンでたたくなどしたとして、この施設を運営するNPO法人の代表が逮捕された。調べに対し、容疑者は黙秘しているという[^3^][3]。
- 奈良市の特別養護老人ホームで、90代の入所女性に性的暴行をしたとして、この施設に勤務していた69歳の介護福祉士の男が逮捕された。男は容疑を一部否認しているという[^4^][4]。
- 新潟市の特別養護老人ホームで入所者のケアプランを偽造していたなどとして、県と市はこの施設を運営する社会福祉法人に対して、新規入所者の受け入れ停止などの行政処分を行った[^5^][5]。
介護事故の原因と背景
介護事故の原因としては、以下のような要因が考えられます。
- 介護職員の人手不足や過重労働。コロナ禍で感染予防のための負担が増えたことや、介護職員の感染や濃厚接触者の隔離などで人員が減ったことが影響していると考えられます。介護職員の人手不足は、日本医労連が2023年に発表した介護施設夜勤実態調査でも明らかになっており、16時間前後の長時間勤務となる「2交代」の施設が89.3%を占め、そのうち87%が16時間以上の勤務、59.4%が「1人体制」だと報告されています[^6^][6]。
- 介護施設のブラックボックス化。コロナ禍で施設の外部との接触を制限することで、利用者や家族、行政などの目が届きにくくなっていると指摘されています。例えば、介護施設に入所した101歳の女性が、ベッド転落から6日後に死亡した事故では、市は施設側の「虐待」を認定しましたが、遺族はコロナ禍で施設に入れなかったことで不信感を募らせたと語っています。
- 介護施設の管理体制や教育の不備。介護事故や虐待を防ぐためには、施設の管理体制や教育が重要ですが、一部の施設ではそれが十分に行われていないという問題があります。例えば、山形県高畠町の有料老人ホームで、入所者の体をガムテープで拘束する虐待があったとして、県と市はこの施設を運営する「株式会社はな」に対し、3ヶ月間指定を停止する行政処分を行いましたが、この施設では、ケアマネジャーが不在だったり、職員の教育が不十分だったりするなどの問題が指摘されています。
介護事故を防ぐための対策
介護事故を防ぐためには、以下のような対策が必要です。
- 介護職員の人材確保や労働環境の改善。介護職員の人手不足や過重労働は、介護事故のリスクを高めるだけでなく、介護職員の離職率も上げるという悪循環に陥ります。そのため、介護職員の給与や待遇の改善、配置基準の引き上げ、勤務時間の短縮や休暇の確保などの労働環境の改善が必要です。また、介護職員の採用や教育にも力を入れる必要があります。
- 介護施設の透明化や監視の強化。コロナ禍で施設の外部との接触を制限することで、介護施設がブラックボックス化することを防ぐためには、施設の透明化や監視の強化が必要です。例えば、施設の情報や事故の発生状況を公開したり、利用者や家族とのコミュニケーションを密にしたり、行政や第三者の監査や検査を頻繁に行ったりすることが必要です。
- 介護施設の管理体制や教育の充実。介護事故や虐待を防ぐためには、施設の管理体制や教育が充実していることが重要です。例えば、施設のリーダーやケアマネジャーが職員の指導や相談に応じたり、職員同士の連携や情報共有を促進したり、職員のモラルやスキルを高めるための研修や勉強会を定期的に行ったりすることが必要です。
まとめ
この記事では、介護事故に関するニュース記事を書きました。介護事故は、コロナ禍で介護施設の状況が悪化したことや、介護施設の管理体制や教育の不備などが原因で起きていると考えられます。介護事故を防ぐためには、介護職員の人材確保や労働環境の改善、介護施設の透明化や監視の強化、介護施設の管理体制や教育の充実などの対策が必要です。
介護事故は、利用者だけでなく、家族や介護職員にも大きな影響を与える問題です。介護事故をなくすためには、社会全体で介護施設の状況に目を向け、関係者が協力して解決策を探していくことが必要です。
