2022年4月に施行された個人情報保護法の改正により、介護事業者は利用者や職員の個人情報の取り扱いについて、より厳格な義務や責任が課せられました。この記事では、介護事業者が個人情報保護法の改正内容を理解し、適切な対策を講じるためのポイントを解説します。
- 個人の権利の強化：利用停止・消去などの請求の要件を緩和し、開示方法や対象を広げた
- データの利活用の促進：「仮名加工情報」を創設し、内部分析に限定する前提で、規制を緩和した
- 法定刑の引き上げ：措置命令違反や義務違反があった場合の罰則を強化した
- 外国の事業者への個人データの提供に関する情報提供：個人データを海外移転する際の規制を強化し、本人に情報を提供することを義務付けた
介護関係事業者が意識すべきポイント
介護関係事業者は、利用者や職員などの個人情報を多く取り扱っています。そのため、個人情報保護法の改正に伴い、以下のようなポイントを意識する必要があります。
- 利用目的の特定と通知：個人情報を取得する際には、その利用目的をできる限り特定し、本人に通知することが必要です。利用目的は、介護サービスの提供や管理など、具体的に記載することが望ましいです。
- 安全管理措置の徹底：個人情報の漏えいや不正利用を防ぐために、組織的、人的、物理的、技術的な安全管理措置を講じることが必要です。例えば、個人情報保護の規定の整備や公表、職員の教育研修、施錠や監視カメラの設置、パスワードやウイルス対策ソフトの管理などが挙げられます。
- 個人データの第三者提供の制限：個人データを第三者に提供する場合には、原則として本人の同意が必要です。ただし、法令に基づく場合や人の生命や財産の保護のために必要な場合など、一定の例外があります。また、個人データの第三者提供に関する記録を作成し、保存することも義務付けられています。
- 個人情報の開示請求等の対応：個人情報の保有者は、自分の個人情報について、開示や訂正、利用停止などの請求をすることができます。介護関係事業者は、これらの請求に対して、適切に対応することが必要です。請求の受付方法や手続き、期限などを明確にしておくことが望ましいです。
まとめ
介護の未来と介護の課題に関する個人情報保護法の記事では、改正法の概要と、介護現場での個人情報の取り扱いについて、注意すべきポイントを解説しました。介護関係事業者は、個人情報保護法の改正に伴い、個人情報の適切な管理と利活用を図ることが求められます。個人情報保護の規定やガイダンスを参考にしながら、個人の権利利益の保護に努めてください。
