スウェーデンは福祉国家として有名で、介護における先進国とも言われています。スウェーデンの介護制度やサービス、高齢者の生活状況などについて、日本との比較を交えながら紹介していきます。
スウェーデンの介護制度の特徴
スウェーデンの介護制度は、以下のような特徴があります。
- 地方自治体が介護サービスを提供する。国は基準や方針を定めるが、具体的な内容や費用は地方自治体に委ねられている。
- 在宅ケアが中心で、高齢者の自立生活を支援する。ホームヘルプやデイサービスなどの通所・在宅の福祉サービスが充実している。施設入所は最後の手段とされ、必要性が高い場合に限られる。
- 高齢者のニーズや希望に応じた個別化されたサービスが提供される。高齢者は自分のケアプランに関与し、サービスの種類や時間、提供者などを選択できる。
- 高齢者の負担は所得に応じて決まる。介護サービスの利用料は地方自治体が定める上限額があり、高齢者の所得に応じて割引される。医療費は年間の自己負担額に上限がある。
スウェーデンの高齢者の生活状況
スウェーデンの高齢者の生活状況は、以下のようになっています。
- 単身世帯や夫婦二人世帯が多く、子供や孫と同居するケースはほとんどない。子供や孫とのつきあい方は、ときどき会って食事や会話をするのが一般的である。
- 医療サービスの利用は年に数回程度で、日本に比べて少ない。通所・在宅の福祉サービスの利用も高齢者の8割以上がしていない。利用する場合は、ホームヘルプが最も多く、毎日利用する人もいる。
- 収入を伴う仕事をしている高齢者は少なく、主な収入源は年金である。日々の暮らしに困ることは少なく、老後の経済生活に対する備えや貯蓄は充分であると感じている。
- 人と直接会って話をする頻度は高く、同居の家族以外に頼れる人も多い。近所の人たちとの付き合いや社会活動への参加も盛んである。情報通信機器の所有や利用も高い。
- 生きがいを感じることや生活の総合満足度は高い。政策に対する態度は、高齢者や若い世代に対する対応は公平であるべきだと考えている。高齢者に対する重要な政策や支援は、医療や介護の質の向上や費用の軽減であると答えている。
スウェーデンと日本の介護事情の違い
スウェーデンと日本の介護事情には、以下のような違いがあります。
- スウェーデンは地方自治体が介護サービスを提供するが、日本は国が介護保険制度を運営し、地方自治体は実施機関となっている。スウェーデンは地方自治体によってサービスの内容や費用が異なるが、日本は国が定めた基準に沿ってサービスが提供される。
- スウェーデンは在宅ケアが中心で、高齢者の自立生活を支援するが、日本は施設入所が多く、高齢者の介護離職や家族介護が問題となっている。スウェーデンは高齢者のニーズや希望に応じた個別化されたサービスが提供されるが、日本はサービスの種類や時間が制限されている。
- スウェーデンは高齢者の負担は所得に応じて決まるが、日本はサービスの種類に応じて決まる。スウェーデンは医療費の自己負担額に上限があるが、日本は上限がない。スウェーデンは高齢者の所得が高く、貯蓄も多いが、日本は高齢者の所得が低く、貯蓄も少ない。
- スウェーデンは単身世帯や夫婦二人世帯が多く、子供や孫との同居はほとんどないが、日本は子世帯との同居が多い。スウェーデンは子供や孫とのつきあい方は、ときどき会って食事や会話をするのが一般的であるが、日本は毎日会って世話をするのが一般的である。
- スウェーデンは人と直接会って話をする頻度は高く、社会的なつながりも強いが、日本は人と会って話をする頻度は低く、社会的な孤立も問題となっている。スウェーデンは高齢者の生きがいや生活の満足度は高いが、日本は高齢者の生きがいや生活の満足度は低い。
| 項目 | スウェーデン | 日本 |
|---|---|---|
| 介護保険制度 | 地方自治体が介護サービスを提供する。国は基準や方針を定めるが、具体的な内容や費用は地方自治体に委ねられている。 | 国が介護保険制度を運営し、地方自治体は実施機関となっている。国が定めた基準に沿ってサービスが提供される。 |
| 在宅ケアの割合 | 在宅ケアが中心で、高齢者の自立生活を支援する。施設入所は最後の手段とされ、必要性が高い場合に限られる。 | 施設入所が多く、高齢者の介護離職や家族介護が問題となっている。サービスの種類や時間が制限されている。 |
| 高齢者の負担 | 高齢者の負担は所得に応じて決まる。介護サービスの利用料は地方自治体が定める上限額があり、高齢者の所得に応じて割引される。医療費は年間の自己負担額に上限がある。 | 高齢者の負担はサービスの種類に応じて決まる。介護サービスの利用料は国が定めた基準に沿って決まる。医療費は年間の自己負担額に上限がない。 |
| 高齢者の生活状況 | 単身世帯や夫婦二人世帯が多く、子供や孫との同居はほとんどない。子供や孫とのつきあい方は、ときどき会って食事や会話をするのが一般的である。人と直接会って話をする頻度は高く、社会的なつながりや生きがいを持ち、生活の満足度も高い。 | 子世帯との同居が多い。子供や孫とのつきあい方は、毎日会って世話をするのが一般的である。人と会って話をする頻度は低く、社会的な孤立も問題となっている。生きがいや生活の満足度は低い。 |
スウェーデンの介護事例
スウェーデンの介護事例として、以下のようなものがあります。
- エヴァさん（80歳）は、夫と二人暮らしの単身世帯です。夫は認知症で、介護が必要です。エヴァさんは、地方自治体から介護サービスの申請をしました。地方自治体のケアマネージャーが自宅を訪問し、夫の介護度やニーズを評価しました。その結果、夫は介護サービスの対象となり、エヴァさんは自分の希望に応じてサービスの種類や時間、提供者を選ぶことができました。エヴァさんは、夫に毎日ホームヘルプを利用させることにしました。ホームヘルプは、夫の身体介護や食事の準備、掃除などを行います。エヴァさんは、ホームヘルプのおかげで、夫の介護に疲れることなく、自分の趣味や友人との交流を楽しむことができます。ホームヘルプの利用料は、夫の所得に応じて割引され、月に約1万円です。
- オーラさん（75歳）は、一人暮らしの単身世帯です。オーラさんは、軽度の認知障害があり、日常生活に不安を感じています。オーラさんは、地方自治体から介護サービスの申請をしました。地方自治体のケアマネージャーが自宅を訪問し、オーラさんの介護度やニーズを評価しました。その結果、オーラさんは介護サービスの対象となり、自分の希望に応じてサービスの種類や時間、提供者を選ぶことができました。オーラさんは、週に3回デイサービスを利用することにしました。デイサービスは、オーラさんを自宅から送迎し、レクリエーションや食事、入浴などを提供します。オーラさんは、デイサービスで他の高齢者と交流したり、楽しい時間を過ごしたりすることができます。デイサービスの利用料は、オーラさんの所得に応じて割引され、月に約2万円です。
まとめ
スウェーデンは介護における先進国として、日本にとって参考になる点が多いと言えます。スウェーデンの介護制度は、高齢者の自立生活を支援し、ニーズや希望に応じた個別化されたサービスを提供しています。スウェーデンの高齢者は、社会的なつながりや生きがいを持ち、生活の満足度も高いです。日本は、スウェーデンの介護事情を学び、自分たちに合った介護制度やサービスを構築していく必要があると思います。
