介護職は、高齢化社会において重要な役割を担う仕事です。しかし、介護職は給与や待遇が低いというイメージが強く、キャリアアップの方法が分からないという方も多いのではないでしょうか?
この記事では、介護職でキャリアアップする方法について、経験年数や資格の有無に応じたキャリアパスモデルを紹介します。介護職でスキルアップや収入アップを目指す方は、ぜひ参考にしてください。
介護職におけるキャリアアップとは?
キャリアアップとは、現在よりも高い能力や専門性を身に着けて経歴を高めるという意味の言葉です。介護業界におけるキャリアアップには、次のような方法があります。
- 新たな資格やレベルの高い資格の取得を目指す
- 管理職や専門職、相談職、医療職などの上位職をめざす
- デジタル技術やICTスキルの習得をする
介護職におけるキャリアパスは、大きく2つに分かれているイメージをするとわかりやすいです。
- 【1段階目(実務経験5年未満の介護職員)】
介護の技術を身につけて現場で活躍する
1年目……介護職員初任者研修
3年目まで……介護福祉士実務者研修
3年目以降……介護福祉士 - 【2段階目(実務経験5年以上の介護職員)】
介護経験を活かして管理職・専門職・相談職・医療職にステップアップする
施設長・管理者/ケアマネージャー/生活相談員/ 看護師/リハビリ職/認定介護福祉士/ 認定ケアマネージャー/主任ケアマネージャー/社会福祉士 など
全体の流れとしては、まず1段階目での最終目標である介護福祉士を取得し、2段階目で自分のやりたい方向にキャリアアップしていきます。
介護未経験職員のキャリアアップモデル
介護業界では、資格がなくても就ける仕事もあります。介護職の中には国家資格を所持して活躍する職種もあり、介護職のキャリアアップを考えると様々な方法があります。
ここでは、1段階目である介護福祉士取得までのキャリアアップモデルを解説します。大まかな流れとしては、介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士と、段階的に資格を取得していきます。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、無資格の介護職員やこれから介護職に挑戦したい方が最初に取得を目指す資格です。厚生労働省が認定している資格で、介護職として働くうえで基本となる知識と技術を身につけることができます。
介護の仕事は無資格で出来る行為もありますが、初任者研修の取得によって身体介護が可能になり、働ける場所や業務の範囲が広がります。初任者研修は受講するために必要となる資格がないため、どんな年齢・経歴の方でも受講することができます。
指定の養成機関で130時間(10項目)の研修を受け、その後に修了試験に合格すると資格取得となります。直接養成機関に通学する以外にも、オンラインを併用しながら取得することも可能です。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は厚生労働省が認定している資格で、介護職員初任者研修の直接的な上位資格です。実務者研修を取得することによってサービス提供責任者として働くことができるようになり、キャリアアップにつながります。
習得できる内容についてもたん吸引や経管栄養などの医療行為を含み、よりレベルの高い介護が行えるようになります。実務者研修も初任者研修と同様に受講のために必要な資格はなく、どんな年齢・経歴の人でも受講することが可能です。
しかし、養成機関によっては初任者研修修了以上の基礎的な介護知識を持っている前提でカリキュラムが組まれていることもあります。そのため、初任者研修を受講せずに初めから実務者研修を受講したい場合は事前に養成機関への確認が必要です。
実務者研修は全体で450時間の研修を受ける必要があります。そのうち、実務経験がない場合は150時間の実習が必要です。実務経験がある場合は、実習時間が減免される場合があります。
介護福祉士
介護福祉士は介護職の中で唯一の国家資格であり、介護における専門知識がある証明になる資格です。国家資格であるため、初任者研修や実務者研修の資格を持っている人よりも平均給与が高く設定されている傾向で給与アップが望めます。業務面でもリーダー職や新人教育といった重要な役割を任されるなど仕事の幅が広がり、転職でも有利となる可能性が高くなります。
介護福祉士の受験資格は、実務者研修の修了と3年以上の実務経験が必要です。介護福祉士国家試験の合格率は例年60~70%ほどなので、試験対策をしっかり行って臨みましょう。
まとめ
介護職でキャリアアップする方法には、資格の取得や役職の昇進などがあります。介護職におけるキャリアパスは、実務経験や資格の有無に応じて異なりますが、一般的には以下のような流れになります。
- 無資格・未経験から介護職に入る場合は、まず介護職員初任者研修を取得し、基本的な介護の知識と技術を身につけます。
- 次に、介護福祉士実務者研修を取得し、より高度な介護の知識と技術を身につけます。実務者研修を取得することで、介護福祉士の受験資格を得られます。
- 最後に、介護福祉士の国家試験に合格し、介護職の最高峰の資格を取得します。介護福祉士は、平均給与が高く、仕事の幅が広く、転職に有利な資格です。
介護職でキャリアアップすることで、スキルアップや収入アップを目指すことができます。また、デジタル技術やICTスキルの習得も、今後の介護業界で求められる能力となります。介護職で長く働くためには、常に自分のスキルや知識を更新し、キャリアアップのチャンスを探していきましょう。