高齢化が進む日本では、自分や家族の介護に関わることが増えてきています。しかし、介護についての知識がないと、どうすればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護の基礎知識についてわかりやすく解説します。介護の必要性や種類、制度やサービス、施設や費用など、介護に関する基本的な情報を知っておきましょう。
介護とは何か?介護の必要性を知る
介護とは、高齢者や障害者など、日常生活において困難を抱える人に対して、身体的・精神的・社会的な支援を行うことです。介護は、医療とは異なり、病気の治療ではなく、生活の質の向上を目的としています。
介護の必要性は、日本の高齢化に伴って高まっています。2023年には、65歳以上の高齢者が人口の3割を超えると予測されています[^1^][1]。高齢者の中には、認知症や身体障害などで自立した生活が困難になる人もいます。そのため、介護を必要とする人の数も増えています。
介護を必要とする人は、自分や家族だけでなく、社会全体の問題です。介護を受ける人の人権や尊厳を守り、安心して暮らせる環境を整えることが重要です。また、介護をする人の負担やストレスも軽減することが必要です。そのためには、介護に関する正しい知識や理解が欠かせません。
介護の種類と特徴を知る
介護には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 家族介護:家族や親族など、身近な人が行う介護
- 在宅介護:自宅で介護を受けること
- 施設介護:介護施設で介護を受けること
それぞれの介護の特徴やメリット・デメリットについて見ていきましょう。
家族介護
家族介護とは、家族や親族など、身近な人が行う介護のことです。介護を必要とする人と同居している場合や、近所に住んでいる場合などに行われます。家族介護のメリットは、以下のようなものがあります。
- 介護を受ける人の気持ちや状態をよく理解できる
- 介護を受ける人の生活習慣や好みに合わせやすい
- 介護を受ける人との絆を深めることができる
一方で、家族介護のデメリットは、以下のようなものがあります。
- 介護にかかる時間や費用が大きくなる
- 介護による肉体的・精神的な負担が大きくなる
- 介護に関する専門的な知識や技術が不足する
家族介護をする場合は、自分の体調や心の状態にも気を配り、必要に応じて専門家や他の家族に相談したり、サービスを利用したりすることが大切です。
在宅介護
在宅介護とは、自宅で介護を受けることです。家族介護だけでなく、訪問介護や通所介護などのサービスを利用することも含まれます。在宅介護のメリットは、以下のようなものがあります。
- 自分の住み慣れた環境で生活できる
- 家族や友人との交流が維持できる
- 自分のペースで生活できる
一方で、在宅介護のデメリットは、以下のようなものがあります。
- 介護の質や安全性が低下する可能性がある
- 介護に必要な設備や物品が揃っていない場合がある
- 介護をする人や受ける人の孤立が進む可能性がある
在宅介護をする場合は、自宅のバリアフリー化や福祉用具の導入などの工夫や、地域のネットワークやサポート体制の活用などが重要です。
施設介護
施設介護とは、介護施設で介護を受けることです。老人ホームや特別養護老人ホームなどの種類があります。施設介護のメリットは、以下のようなものがあります。
- 介護の質や安全性が高い
- 介護に必要な設備や物品が揃っている
- 介護をする人や受ける人の負担が軽減される
一方で、施設介護のデメリットは、以下のようなものがあります。
- 自分の住み慣れた環境から離れることになる
- 家族や友人との交流が減ることになる
- 施設のルールやスケジュールに従わなければならない
施設介護をする場合は、自分の希望や条件に合った施設を選ぶことや、施設のスタッフや入居者とのコミュニケーションを取ることが大切です。
介護の制度とサービスを知る
介護をする人や受ける人にとって、介護の制度やサービスを知ることは非常に重要です。介護の制度やサービスは、介護の費用や内容、利用方法などに影響します。ここでは、代表的な介護の制度やサービスについて紹介します。
介護保険制度
介護保険制度とは、介護を必要とする人に対して、介護サービスや福祉用具などの給付を行う制度です。介護保険制度は、40歳以上のすべての国民が加入することになっています。介護保険制度の特徴は、以下のようなものがあります。
- 介護の必要度に応じて、要支援1~2や要介護1~5の認定を受けることができる
- 認定を受けた人は、介護保険サービスの利用計画(ケアプラン)を作成することができる
- ケアプランに基づいて、介護保険サービスを利用することができる
- 介護保険サービスの利用には、一部の自己負担が必要である
介護保険制度を利用するには、まず市町村の窓口に申請することが必要です。その後、介護認定審査会が介護の必要度を判定し、認定結果が通知されます。認定を受けたら、ケアマネージャーと相談してケアプランを作成し、介護保険サービスを利用することができます。
介護保険サービス
介護保険サービスとは、介護保険制度のもとで提供される介護サービスのことです。介護保険サービスは、大きく分けて以下の2種類があります。
- 在宅介護サービス:自宅で利用できる介護サービス
- 施設介護サービス:介護施設で利用できる介護サービス
それぞれの介護保険サービスの種類や内容について見ていきましょう。
在宅介護サービス
在宅介護サービスとは、自宅で利用できる介護サービスのことです。在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。
- 訪問介護:自宅に介護員が訪問して、身体介護や生活援助を行うサービス
- 訪問看護:自宅に看護師が訪問して、医療的なケアや指導を行うサービス
- 通所介護:介護施設に通って、入浴や食事、レクリエーションなどを行うサービス
- 通所リハビリ:介護施設に通って、理学療法や作業療法などのリハビリを行うサービス
- 訪問リハビリ:自宅に理学療法士や作業療法士が訪問して、リハビリを行うサービス
- 居宅介護支援:ケアマネージャーが自宅に訪問して、介護の相談やケアプランの作成を行うサービス
- 福祉用具貸与:車椅子や歩行器などの福祉用具を貸し出すサービス
- 住宅改修費用:バリアフリー化などの住宅改修にかかる費用の一部を補助するサービス
在宅介護サービスを利用するには、ケアプランに基づいて、サービス提供事業者と契約することが必要です。サービスの利用には、一部の自己負担が必要です。自己負担の割合は、所得に応じて1割から3割まで変わります。
施設介護サービス
施設介護サービスとは、介護施設で利用できる介護サービスのことです。施設介護サービスには、以下のようなものがあります。
- 介護老人保健施設:医療と介護の両方を提供する施設
- 特別養護老人ホーム:介護が必要な高齢者のための施設
- 介護療養型医療施設:療養が必要な高齢者のための施設
- サービス付き高齢者向け住宅:自立した高齢者のための施設
- グループホーム:認知症の高齢者のための施設
- ショートステイ:一時的に介護施設に滞在するサービス
施設介護サービスを利用するには、ケアプランに基づいて、施設と契約することが必要です。施設の利用には、一部の自己負担が必要です。自己負担の割合は、所得に応じて1割から3割まで変わります。また、施設によっては、入居費用や食費などの別途費用がかかる場合があります。
介護の費用と支援を知る
介護をする人や受ける人にとって、介護の費用は大きな負担になることがあります。介護の費用は、介護の種類や内容、利用するサービスや施設などによって異なります。介護の費用については、以下のようなことを知っておくと良いでしょう。
- 介護保険制度を利用する場合は、一部の自己負担が必要である
- 自己負担の割合は、所得に応じて1割から3割まで変わる
- 自己負担の上限額は、所得に応じて設定される
- 自己負担の減額や免除の制度がある場合がある
- 介護費用の一部を控除できる税制優遇がある場合がある
- 介護費用の一部を補助する公的な制度や民間の制度がある場合がある
介護の費用に関する詳しい情報は、市町村の窓口や介護保険サービスの提供事業者に相談することができます。また、介護の費用を抑えるためには、介護の計画や予算の管理、節約や副業などの工夫も必要です。
まとめ
この記事では、介護の基礎知識について紹介しました。介護について知ることは、自分や家族の介護に備えるだけでなく、高齢化社会において必要なことです。介護に関する正しい知識や理解を持ち、介護の質や安心を高めることができるようにしましょう。
参考文献
- 厚生労働省「高齢社会白書」https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/koureisha/2023/index.html
- 厚生労働省「介護保険制度のしくみ」https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/17/1701.html
- 厚生労働省「介護保険サービスの種類と内容」https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/17/1701-1.html
- 厚生労働省「介護費用の自己負担について」https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/17/1701-2.html