介護施設に入居するとき、医療ケアの充実度は重要なポイントです。介護施設によっては、医師や看護師が常駐していたり、高度な医療行為に対応できたりする場合があります。一方で、医療的ケアと呼ばれる日常的な処置や介助は、介護職員が行うことができます。
この記事では、介護施設における医療ケアと医療的ケアの違いや、介護施設の種類や選び方について解説します。介護施設を探す際の参考にしてください。
目次
介護施設における医療ケアと医療的ケアの違い
介護施設における医療ケアと医療的ケアは、以下のように定義されています。
医療ケア
医療ケアとは、医師や看護師などの医療従事者が行う、医学的な知識や技術を必要とする治療や処置のことです。医療ケアには、以下のようなものがあります。
- 診察
- 注射
- 点滴
- 応急処置
- 透析
- 処方箋の発行
- 褥瘡処置
- 経管栄養
- 喀痰吸引
- インシュリン注射
- 中心静脈栄養
- 在宅酸素
- ストーマ管理
- 導尿・バルーン管理
医療ケアは、医師法や看護師法などの法律に基づいて行われます。医師や看護師以外の者が医療ケアを行うと、法律違反になる場合があります。
医療的ケア
医療的ケアとは、介護職員が行う、日常生活に必要な血圧測定や服薬介助などの生活援助行為のことです。医療的ケアには、以下のようなものがあります。
- 体温測定
- 自動血圧測定
- 湿布の貼替え
- 軟膏塗布（褥瘡処置を除く）
- 目薬の点眼
- 一包化された内服薬の介助
- 座薬の挿入
- 鼻に噴霧薬を使用するときの介助
- 爪切り
- 口腔ケア
- 耳垢の除去
- ストーマ装具の排泄物除去
- 自己導尿の補助
- 市販の浣腸をする
医療的ケアは、医療行為ではありませんが、医療的な要素を含むケアです。医療的ケアは、医師や看護師の指示や指導のもとで、介護職員が行うことができます。ただし、利用者の状態や施設の規定によっては、医療的ケアを行えない場合もあります。
介護施設の種類と医療ケアの充実度
介護施設は、大きく分けて「公的施設」と「民間施設」に分類されます。公的施設とは、国や地方自治体、社会福祉法人などが運営する施設で、介護保険制度の下でサービスを提供する施設です。民間施設とは、株式会社や医療法人などが運営する施設で、介護保険制度とは別にサービスを提供する施設です。
公的施設と民間施設の違いは、以下の表のようになります。
| 項目 | 公的施設 | 民間施設 |
|---|---|---|
| 料金 | 介護保険制度に基づいて決まる | 施設によって自由に設定できる |
| 入居条件 | 介護認定を受けた人で、施設の定員内であること | 介護認定を受けていなくても入居できる場合がある |
| 医療ケア | 医師や看護師が常駐している場合が多い | 医師や看護師が常駐していない場合が多い |
| サービス内容 | 介護保険制度の基準に沿って提供される | 施設独自のサービスを提供できる |
公的施設と民間施設の違いは、医療ケアの充実度にも影響します。一般的に、公的施設は医療ケアが充実していると言われています。公的施設では、医師や看護師が常駐していたり、医療機関との連携が密になっていたりする場合が多いからです。また、公的施設では、介護保険制度の基準に沿ってサービスを提供する必要があるため、医療ケアの質や安全性が保証されています。
一方、民間施設は医療ケアが不十分と言われることもあります。民間施設では、医師や看護師が常駐していなかったり、医療機関との連携が希薄だったりする場合が多いからです。また、民間施設では、介護保険制度とは別にサービスを提供するため、医療ケアの質や安全性が施設によってばらつきがある可能性があります。
しかし、これはあくまで一般論であり、公的施設が必ずしも医療ケアが充実しているとは限りませんし、民間施設が必ずしも医療ケアが不十分とは限りません。実際には、施設の規模や立地、運営方針、人材配置、設備投資などによって、医療ケアの充実度は施設ごとに異なります。そのため、介護施設を選ぶ際には、公的施設か民間施設かという区分だけでなく、個々の施設の医療ケアの実態を確認することが重要です。
介護施設の選び方のポイント
介護施設を選ぶ際には、医療ケアの充実度だけでなく、以下のようなポイントも考慮する必要があります。
- 利用者の介護度や医療状態に合った施設かどうか
- 利用者の希望やニーズに応えられる施設かどうか
- 施設の雰囲気やサービス内容が良好かどうか
- 施設の費用や空き状況が把握できるかどうか
- 施設の立地や交通の便が良いかどうか
- 施設の評判や口コミが良いかどうか
介護施設を選ぶ際には、できるだけ多くの施設を比較検討することがおすすめです。また、実際に施設を見学したり、施設の職員や利用者と話したりすることも大切です。施設のパンフレットやホームページだけでは、施設の実態を把握することは難しいからです。
介護施設を選ぶ際には、専門的な知識や経験が必要な場合もあります。そのような場合には、ケアマネージャーや介護相談センターなどの専門家に相談することも有効です。専門家は、利用者の状況や希望に応じて、適切な施設を紹介したり、施設の入居手続きをサポートしたりすることができます。
まとめ
この記事では、介護施設における医療ケアと医療的ケアの違いや、介護施設の種類や選び方について解説しました。介護施設に入居するときは、医療ケアの充実度だけでなく、利用者の状況や希望に合った施設を選ぶことが大切です。介護施設を選ぶ際には、多くの施設を比較検討し、実際に施設を見学し、専門家に相談することをおすすめします。
介護施設における医療ケアに関する記事をお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、介護施設を探す際の参考になれば幸いです。
