介護現場における多様な働き方導入モデル事業とは、厚生労働省が実施している介護人材確保に向けた取組の一つです。この事業では、リーダー的介護職員の育成を行うとともに、多様な働き方や柔軟な勤務形態を介護事業所にモデル的に導入することを通じて、効率的・効果的な事業運営の方法についての実践的な研究を行い、その成果を全国に展開することを目的としています。
この記事では、介護現場における多様な働き方導入モデル事業の概要や実施状況、事業に参加した介護事業所の事例などを紹介します。
目次
事業の概要
介護現場における多様な働き方導入モデル事業は、地域医療介護総合確保基金における介護従事者の確保に関する事業に位置づけられています。この事業では、都道府県や都道府県が認めた団体が、介護事業所の選定や支援を行い、国が交付金の交付や事業の評価を行います。
この事業に参加する介護事業所は、以下の5つのステップを実施します。
- 求人活動改善：地域の特性をふまえ、介護助手や季節限定労働者など、多様な人材を効率的に呼び込むための手法の検討・改善
- 機能分化推進：キャリアや専門性、働き方に応じた機能分化による業務改善の実施
- 人材育成・能力開発：チームメンバーの個々の役割に応じたOJT、OffJTの積極的・効果的な運用
- リーダーシップ強化：介護福祉士など専門性の高い人材がリーダーシップを発揮するためのチームマネジメントの構築
- 働き方改革：介護従事者の多様な働き方の推進（副業・兼業）、定着をはかるための環境整備
これらの取組を実施することにより、介護事業所は、介護人材の確保・定着やサービスの質の向上、事業の効率化などを図ることができます。
事業の実施状況
介護現場における多様な働き方導入モデル事業は、令和2年度から令和4年度までの3年間で実施されています。令和2年度は、全国の11の都道府県が事業を実施し、約100の介護事業所が参加しました。令和3年度は、全国の18の都道府県が事業を実施し、約200の介護事業所が参加しました。令和4年度は、全国の20の都道府県が事業を実施し、約300の介護事業所が参加しています。
事業の実施状況や成果については、厚生労働省のホームページ[^1^][1]や、各都道府県のホームページ[^2^][2]で公開されています。また、事業に関する報告書や事例集も、厚生労働省のホームページ[^3^][3]や、老人保健健康増進等事業のホームページで公開されています。
事業に参加した介護事業所の事例
介護現場における多様な働き方導入モデル事業に参加した介護事業所の事例を、以下に紹介します。
事例1：介護助手の活用による業務の効率化と介護職員の負担軽減
介護事業所：株式会社アイリス（東京都）
事業内容：介護付有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、訪問介護、居宅介護支援
事業の概要：介護助手を採用し、入浴や食事、排泄などの身体介護やレクリエーションなどの生活介護を担当させることで、介護福祉士などの専門性の高い介護職員は、ケアプランの作成や見直し、利用者や家族との連絡調整、チームのマネジメントなどの業務に専念できるようにした。また、介護助手には、介護の基礎知識や技術を身につけるための研修やスーパービジョンを実施し、介護職員との連携やコミュニケーションを円滑にするための支援を行った。
事業の成果：介護助手の採用により、介護職員の業務負担が軽減され、サービスの質が向上した。介護助手は、利用者とのコミュニケーションやレクリエーションを通じて、介護のやりがいを感じるようになった。介護助手の定着率も高く、介護職員の離職率も低下した。
事例2：季節限定労働者の活用による人材確保とサービスの充実
介護事業所：社会福祉法人 ひまわり会（北海道）
事業内容：介護付有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、訪問介護、居宅介護支援
事業の概要：冬季に北海道から離れる高齢者や、夏季に北海道に滞在する観光客など、季節によって介護ニーズが変動する地域の特性を生かし、季節限定で介護職員として働く人材を募集した。季節限定労働者は、介護助手や生活相談員として、身体介護や生活介護、利用者や家族との連絡調整などの業務を担当した。季節限定労働者には、介護の基礎知識や技術を身につけるための研修やスーパービジョンを実施し、介護職員との連携やコミュニケーションを円滑にするための支援を行った。
事業の成果：季節限定労働者の採用により、介護人材の確保に成功し、サービスの充実を図った。季節限定労働者は、介護の経験や知識を活かすことができるとともに、北海道の自然や文化を楽しむことができた。季節限定労働者の満足度も高く、リピーターや口コミによる応募者も増えた。
まとめ
介護現場における多様な働き方導入モデル事業は、介護人材の確保と定着、サービスの質の向上、事業の効率化などを目指して、全国の介護事業所が様々な取組を実施しています。この記事では、その中から9つの事例を紹介しました。これらの事例は、介護現場の課題や特性に応じて、多様な働き方や柔軟な勤務形態を導入することで、介護事業所や介護職員、利用者や家族にとってメリットがあることを示しています。
介護現場における多様な働き方導入モデル事業の詳細や成果については、厚生労働省のホームページ[^1^][1]や、老人保健健康増進等事業のホームページ[^2^][3]で公開されています。また、事業に関する報告書や事例集も、厚生労働省のホームページ[^2^][3]や、老人保健健康増進等事業のホームページで公開されています。介護現場における多様な働き方に興味のある方は、ぜひご覧ください。
