介護職員の離職率が高い問題に対処するため、厚生労働省が平成31年度から始めた制度が「人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度」です。この制度では、職員の人材育成や就労環境等の改善につながる介護事業者の取組について、都道府県が基準に基づく評価を行い、一定の水準を満たした事業者に対して認証を付与します。認証を取得した事業者は、ロゴマークを使用したり、ハローワークや就職フェアなどで優先的に情報発信したりすることができます。この記事では、認証評価制度の目的やメリット、認証基準や申請方法などについて解説します。
認証評価制度の目的
認証評価制度の目的は、介護事業者の人材育成や人材確保に向けた取組の「見える化」を図ることです。介護職員の離職の主な理由としては、職場の人間関係の問題や、結婚、出産、育児等、事業所の理念・運営のあり方が挙げられます。認証評価制度により、介護事業者の自主的な取組を評価することで、介護事業所の働きやすい環境の整備、業界全体の取組のレベルアップとボトムアップを推進し、介護職を志す者の参入や、介護職員の離職防止、定着促進が期待されます。また、介護業界のイメージアップにも繋がります。
認証評価制度のメリット
認証評価制度に参加することで、介護事業者には以下のようなメリットがあります。
- 認証を取得した事業者は、ロゴマークを使用することができます。ロゴマークは、介護事業者の人材育成や人材確保に向けた取組の証として、求職者や利用者にアピールすることができます。
- 認証を取得した事業者は、ハローワークや就職フェアなどで優先的に情報発信することができます。都道府県が主催するイベントやパンフレットなどで、認証事業者の紹介や取組の紹介を行うことができます。
- 認証を取得した事業者は、介護職員処遇改善加算の取得に有利になります。介護職員処遇改善加算は、介護報酬の一部として、介護職員の処遇改善に向けた取組を行う事業者に対して支給される加算です。認証評価制度の認証基準と介護職員処遇改善加算の要件は、内容を整合させることが求められています。
認証評価制度の認証基準
認証評価制度の認証基準は、都道府県が地域の実情に合わせて設定します。厚生労働省が示した認証基準の例は、以下のようになっています。
評価項目例 | 認証基準例 |
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労働環境、処遇の改善 |
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人材育成 |
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法人・事業所の風土 |
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認証基準に適合するかどうかは、都道府県が設置する評価委員会が審査します。審査には、介護事業者からの提出書類や事業所訪問などが行われます。認証の有効期間は原則として3年以内です。更新の際には、再審査が必要です。
認証評価制度の申請方法
認証評価制度に参加するには、都道府県に申請する必要があります。申請に必要な書類や手続きは、都道府県によって異なりますので、事前に確認してください。申請に必要な書類の例は、以下のようになっています。
- 申請書
- 事業所の概要
- 人材育成等に関する取組の評価指標
- 人材育成等に関する取組の実績
- 人材育成等に関する取組の改善計画
- 人材育成等に関する取組の自己評価
- その他、都道府県が必要とする書類
申請書類は、都道府県に郵送するか、直接持参するか、電子申請するかのいずれかの方法で提出します。申請の受付期間や審査の期間は、都道府県によって異なりますので、事前に確認してください。
まとめ
人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度は、介護職員の離職率が高い問題に対処するために、厚生労働省が始めた制度です。この制度では、介護事業者の人材育成や就労環境等の改善につながる取組について、都道府県が基準に基づく評価を行い、一定の水準を満たした事業者に対して認証を付与します。認証を取得した事業者は、ロゴマークを使用したり、ハローワークや就職フェアなどで優先的に情報発信したりすることができます。また、介護職員処遇改善加算の取得にも有利になります。認証評価制度に参加するには、都道府県に申請する必要があります。申請に必要な書類や手続きは、都道府県によって異なりますので、事前に確認してください。