災害が発生したとき、高齢者や障害者などの災害時要配慮者に対する支援は重要な課題です。そのために、地域包括支援センターという施設が活躍しています。地域包括支援センターとは、介護予防や地域見守り、孤独死防止などの地域ネットワークづくりを担う施設です。災害時には、安否確認や相談支援、福祉サービスの提供などを行います。この記事では、地域包括支援センターの役割と活動について紹介します。
目次
地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターは、改正介護保険制度で創設された施設で、全国に約6,000箇所あります。地域包括支援センターの主な役割は、以下のとおりです。
- 介護予防や住み慣れた地域での自立した生活を支援するために、高齢者やその家族、地域住民などに相談や情報提供を行うこと。
- 地域の高齢者の状況やニーズを把握し、居宅介護支援事業者や介護サービス事業者などと連携して、適切なケアプランやサービスの提供を行うこと。
- 地域の高齢者や障害者、子どもなどの見守りや支え合いを促進するために、地域のボランティアや民生委員、地域包括ケアシステムの関係者などと協働して、地域ネットワークづくりを行うこと。
災害時には、これらの役割に加えて、災害時要配慮者に対する支援を行います。災害時要配慮者とは、災害が発生したときに、救援・避難支援が必要な高齢者や障害者、傷病者などのことです。地域包括支援センターは、災害時要配慮者の安否確認や課題の把握、福祉サービスの提供などを行います。
地域包括支援センターの活動
地域包括支援センターの活動は、災害の種類や規模、被害状況などに応じて異なりますが、一般的には、以下のような活動を行います。
- 地域の高齢者や障害者などの安否確認や課題の把握を行う。安否確認は、電話や訪問などで行う。課題の把握は、必要最低限のアセスメントを行う。
- 避難所に避難している高齢者や障害者などに対して、相談支援や福祉サービスの提供を行う。相談支援は、避難生活や生活再建に関する相談に応じる。福祉サービスの提供は、在宅福祉サービスや社会福祉施設への受入れなどを行う。
- 在宅で生活している高齢者や障害者などに対して、福祉サービスの提供や生活支援を行う。福祉サービスの提供は、介護サービスや医療サービスなどを確保する。生活支援は、食料や水、衣類などの物資の提供や配送などを行う。
- 地域のボランティアや民生委員、地域包括ケアシステムの関係者などと連携して、地域の見守りや支え合いを促進する。見守りや支え合いは、高齢者や障害者などの孤立や孤独を防ぐために、声かけや交流などを行う。
地域包括支援センターの活動事例
地域包括支援センターの活動事例として、以下のようなものがあります。
- 令和6年能登半島地震では、地域包括支援センターが中心となり、居宅介護支援事業者や介護サービス事業者等と連携して、避難所に避難している高齢者に対して、相談支援や課題の把握を行い、必要に応じて社会福祉施設等への受入れを行った。また、広域的な利用調整体制を構築し、被災地周辺市町村の施設やサービスを活用した。[1](https://www.mhlw.go.jp/content/001188579.pdf)
- 令和2年7月豪雨では、地域包括支援センターが中心となり、居宅介護支援事業者や介護サービス事業者等と連携して、ひとり暮らし高齢者をはじめとする要援護高齢者に対して、安否確認や課題の把握を行い、必要なサービスの提供につなげた。また、避難所に避難している高齢者に対して、相談支援や福祉サービスの提供を行った。[2]
- 令和元年台風19号では、地域包括支援センターが中心となり、居宅介護支援事業者や介護サービス事業者等と連携して、在宅で生活している高齢者に対して、安否確認や課題の把握を行い、必要なサービスの提供や生活支援を行った。また、避難所に避難している高齢者に対して、相談支援や福祉サービスの提供を行った。[3]
まとめ
地域包括支援センターは、災害が発生したときに、高齢者や障害者などの災害時要配慮者に対する支援を行う施設です。地域包括支援センターは、災害の種類や規模、被害状況などに応じて、安否確認や相談支援、福祉サービスの提供などを行います。地域包括支援センターは、地域のボランティアや民生委員、地域包括ケアシステムの関係者などと連携して、地域の見守りや支え合いを促進します。地域包括支援センターの活動は、災害に弱い人々の生命や生活を守るために、非常に重要な役割を果たしています。
