☀️ 「できないこと」ではなく「できること」に目を向ける
自立を促すポジティブな介護のすすめ
介護の世界では、つい利用者様の**「できないこと」**に注目し、それを補うためのケアを考えがちです。しかし、それではいつまで経っても自立には繋がりません。本来の自立支援とは、**「その人が持っている力」**を見つけ、引き出すことにあります。この記事では、利用者様の「できること」に焦点を当て、その可能性を広げる介護のあり方について解説します。
「もう歳だから」「体が不自由だから」と諦めるのではなく、利用者様が主体的に生きる喜びを感じられるようなケアを目指しましょう。
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1. なぜ「できないこと」に注目してしまうのか?
介護のプロとして、利用者様の安全を確保し、生活の不便を解消することは第一の使命です。その使命感から、「危険なこと」「介助が必要なこと」を優先的に考えてしまうのは自然なことかもしれません。
「できないこと」に囚われる理由
安全第一の考え: 転倒リスクなどを考えると、つい先回りして介助してしまう。
業務効率の追求: 職員の数が限られる中、手早く介助を済ませる方が効率的だと考えてしまう。
利用者様の「諦め」: 介護をされる側が「もう自分には無理」と諦めてしまう。
しかし、このような介護は、利用者様の残存能力を奪い、結果としてさらに「できないこと」を増やしてしまうという負のサイクルを生み出してしまいます。
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2. 「できること」に目を向ける3つのアプローチ
利用者様の「できること」を見つけ、それを引き出すためには、意識的なアプローチが必要です。
アプローチ① 観察と対話
「できない」と決めつけず、まずはじっくりと観察し、対話することが大切です。
さりげない観察: 食事中にスプーンを握りたそうにしていないか、着替えの際に手を動かそうとしていないかなど、小さな変化に気づく。
「〜してみませんか?」の声かけ: 「お手伝いしますね」ではなく、「〜やってみますか?」と声をかけ、挑戦を促す。
アプローチ② 挑戦を促す環境づくり
利用者様が「できる」と感じられるような環境を整えることも重要です。
自助具の活用: 掴みやすいスプーンや、ボタンを留めやすい道具など、自助具を積極的に提案する。
安全なスペースの確保: 「転ぶかもしれない」という不安を取り除くため、手すりをつけたり、滑りにくい床にするなど、安心して活動できる環境を整える。
アプローチ③ 小さな成功体験を積み重ねる
「できた」という体験は、次の挑戦へのモチベーションになります。
たとえ時間がかかっても、見守り、小さな成功を一緒に喜びましょう。
共感と承認: 「ご自身でできてすごいですね!」「〇〇様が頑張ったからですよ」と具体的に褒める。
完璧を求めない: すべてを一人でできなくても、一部だけでもできたことを認める。
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3. 実践例:言葉と行動で変わる介護
【着替えの介助】
❌ 従来の介護
「着替えのお時間です。私が全部やりますから、そのままお待ちください。」
→ 職員がテキパキと着替えを済ませる。
✅ 「できること」に目を向けた介護
「〇〇様、着替えをしましょうか。ズボンを履くのはご自身でできますか?お手伝いが必要なところは声をかけてくださいね。」
→ 利用者様が自力でズボンを履き、職員は上着の着脱をサポート。
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💖 まとめ:可能性を信じ、共に歩む介護
🤝 介護は「代行」ではなく「支援」です。
利用者様の残存能力を最大限に引き出すことが、真の自立支援に繋がります。
✅ できないことに注目するのではなく、できることを見つける。
✅ 小さな成功を共に喜び、次の挑戦への意欲を引き出す。
このポジティブな視点を持つことが、利用者様の尊厳を守り、
介護のやりがいを深める第一歩となるでしょう。