🚶♀️ 「介護」と「介助」は何が違う?
その本質を理解することが「自立支援」の第一歩
介護の現場でよく使われる**「介護」**と**「介助」**という言葉。同じような意味に思えますが、実はこの二つには明確な違いがあります。この違いを理解することは、単なる手助けではない、利用者様の尊厳と自立を尊重するケアに繋がります。この記事では、それぞれの言葉が持つ意味を深く掘り下げ、真の自立支援のあり方について考えます。
利用者様が「できること」を増やし、自分らしい生活を送るためのサポートとは、一体どういうことなのでしょうか。
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1. 「介助」は「お手伝い」
**「介助」**は、**身体的な動作を物理的に手伝う行為**を指します。食事、入浴、排泄、移動など、日常生活動作(ADL)を補うことが主な目的です。
介助の具体例
食事介助: スプーンで食事を口に運んであげる。
入浴介助: 体を洗ってあげる、浴槽への出入りを手伝う。
移動介助: 車椅子を押してあげる、歩行をサポートする。
介助は、利用者様が**「できないこと」を代行する行為**と言えます。これは非常に重要ですが、この介助だけを続けていると、利用者様は「自分でやらなくても良い」と考えるようになり、残された身体能力がさらに低下してしまうリスクがあります。
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2. 「介護」は「支え、育む」
一方、**「介護」**は、**利用者様の生活全体を支え、自立を促す行為**を指します。身体的な介助に加え、精神的なケアや、社会参加の支援など、より広い意味を持ちます。
介護の具体例
食事の介護: 食べやすいようにおかずを切る、利用者様がご自身でスプーンを持てるようサポートする。
入浴の介護: 転倒リスクを減らすために手すりをつける、声かけをしてご自身で体を洗うことを促す。
社会参加の介護: 外出の機会をつくる、趣味や特技を見つけてもらうサポートをする。
介護は、利用者様が**「できること」を維持・向上させるための支援**です。それは、「待つ」ことでもあり、「見守る」ことでもあります。
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3. なぜこの区別が重要なのか?
この二つの違いを理解することは、利用者様の**「尊厳」**を守り、**「可能性」**を広げる上で不可欠です。
介助中心のケアがもたらす問題
自立意欲の低下: 職員が何でもやってくれるため、「もう自分でやらなくてもいい」という気持ちになる。
残存能力の低下: 使わない機能は衰えるため、身体能力や認知機能がさらに低下する。
自己肯定感の低下: 「自分は何もできない」と感じ、生きる喜びを失ってしまう。
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💖 まとめ:私たちは「介助者」ではなく「介護者」である
🤝 「介助」は手段、「介護」は目的です。
介助は、あくまで「介護」という大きな目的の一部に過ぎません。
✅ 物理的な手伝いだけでなく、利用者様の「心」と「可能性」に寄り添うこと。
✅ 「できないこと」を補うのではなく、「できること」を一緒に探し、育むこと。
「介護」の本質を理解し実践することで、私たちは利用者様の「人生の伴走者」となり、
共に生きる喜びを見出すことができるでしょう。