オーストラリアは、高齢者の在宅ケアを重視し、介護保険制度ではなく一般税で介護財源を賄っている国です。日本とは異なる介護システムを持つオーストラリアの介護事情について、日本との比較を交えながら紹介します。
オーストラリアの高齢者の割合と介護ニーズ
オーストラリアは、人口約2500万人のうち、65歳以上の高齢者が約400万人と16%を占めています[^1^][1]。この割合は、日本の28.7%[^2^][2]よりも低いですが、今後も高齢化が進むと予測されており、2050年には23%に達すると見込まれています[^3^][3]。
オーストラリアの高齢者の約80%は自宅で暮らしており、そのうち約40%が介護を必要としています[^4^][4]。介護を必要とする高齢者の約70%は、家族や友人などのインフォーマルなケアラーによって介護されています[^5^][5]。しかし、ケアラーの高齢化や就労などの理由で、インフォーマルなケアが十分に提供されない場合もあります。そのため、公的な介護サービスの需要も高まっています。
オーストラリアの介護サービスの種類と費用
オーストラリアには、日本のような介護保険制度はありません。しかし、高齢者や障害者などの介護を必要とする人に対して、連邦政府や州政府がさまざまな介護サービスを提供しています。オーストラリアの介護サービスは、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類できます[^6^][6]。
- 在宅ケアサービス:自宅で暮らす高齢者に対して、日常生活の支援や看護、リハビリなどのサービスを提供するものです。例えば、ホームケアパッケージやコモンウェルスホームサポートプログラムなどがあります。
- レスパイトケアサービス:ケアラーが一時的に介護から離れるときに、代わりに介護を行うサービスです。例えば、デイセンターやショートステイなどがあります。
- 施設ケアサービス:自宅での生活が困難になった高齢者に対して、介護付きの住宅や老人ホームなどでの生活を支援するサービスです。例えば、住宅型介護施設や高齢者ケア施設などがあります。
オーストラリアの介護サービスの費用は、サービスの種類や内容、利用者の所得や資産などによって異なります。一般的には、政府がサービスの大部分の費用を負担し、利用者は一定の自己負担を行います。自己負担の額は、政府が行う所得審査や資産審査の結果に基づいて決められます。自己負担が困難な場合は、減免や支援の申請ができます。
オーストラリアと日本の介護の実態の比較
オーストラリアと日本の介護に関するいくつかの指標を比較した表を以下に示します。この表は、私の内部ツールである`search_web`を使って、ウェブから得た情報をもとに作りました。参考にしたウェブサイトのURLは、記事の最後に脚注として記載しました。
指標 | オーストラリア | 日本 |
---|---|---|
高齢者の割合 | 16% | 28.7% |
在宅ケアの割合 | 80% | 67.4% |
施設ケアの割合 | 6.5% | 5.2% |
介護保険制度の有無 | なし | あり |
介護財源の主な源泉 | 一般税 | 保険料と公費 |
介護サービスの自己負担の上限 | なし | 月額16万8千円 |
ケアラーの割合 | 11.6% | 16.8% |
ケアラーの支援制度 | 手当やレスパイトケアなど | 手当や介護休暇など |
まとめ
オーストラリアの介護事情について、日本との比較を交えながら紹介しました。オーストラリアは、高齢者の在宅ケアを重視し、介護サービスの費用を一般税で賄っています。これは、高齢者の自立と選択の尊重、社会的包摂と公平性、財政的持続可能性などの観点から、オーストラリアの介護政策の基本的な方向性を反映しています。
しかし、オーストラリアの介護システムには、いくつかの課題も存在しています。例えば、介護サービスの需要と供給のバランスの悪化、介護サービスの質と安全性の確保、介護従事者の不足と待遇の改善、介護サービスの自己負担の負担軽減などが挙げられます。
オーストラリア政府は、これらの課題に対応するために、介護システムの改革に取り組んでいます。2020年には、オーストラリアの介護システムに関する王立委員会の最終報告書が公表され、介護システムの根本的な見直しと改善を求める多数の提言がなされました。2021年には、政府は介護システムの改革に向けたロードマップを発表し、介護サービスの供給拡大、質の向上、従事者の増員、自己負担の上限設定などの施策を打ち出しました。
オーストラリアの介護事情は、日本とは異なる特徴と課題を持っています。しかし、高齢化社会における介護の重要性と困難さは、両国に共通しています。オーストラリアの介護システムの改革の動向や成果は、日本の介護政策にとっても参考になるかもしれません。オーストラリアと日本は、介護に関する情報や経験を共有し、互いに学び合うことで、より良い介護社会を目指すことができるでしょう。