介護福祉士実務者研修とは、介護分野で唯一の国家資格である介護福祉士になるために必要な研修・資格です。介護の実務経験3年と併せて修了が義務づけられており、介護に関する専門的な知識と実践的な技術を習得できます。この記事では、実務者研修について、初任者研修との違いや取得するメリットをまとめました。これから実務者研修を取得しようと考えている方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
介護福祉士実務者研修とは?
介護福祉士実務者研修とは、介護職員初任者研修の上位に位置づけられる資格(研修)で、介護福祉士国家資格の受験要件の一つです。実務者研修課程を修了することで、介護に関する専門的な知識と実践的な技術を習得でき、より質の高い介護サービスを提供できるようになります。
受講要件
介護福祉士実務者研修の受講要件はなく、誰でも受講できます。初任者研修の上位資格のため、「初任者研修を受けてからでなければ受講できない」と思うかもしれませんが、無資格から実務者研修を受講することが可能です。ただ、初任者研修レベルの知識やスキルがなければ、研修のカリキュラムについてけない場合も。介護職の未経験者やスキルに自信のない方は、まずは初任者研修を受けてみることをおすすめします。
取得までにかかる費用
介護職員実務者研修の受講料は、保有資格や研修を実施している機関によって大きく異なります。目安として、以下のような費用がかかるので、あらかじめ用意しておきましょう。
保有資格 | 受講料の目安 |
---|---|
無資格 | 10~25万円 |
初任者研修、ヘルパー2級 | 10~15万円 |
ヘルパー1級 | 5~10万円 |
介護職員基礎研修 | 3~5万円 |
上記はあくまで費用の目安です。実務者研修取得に掛かる費用の詳細を知りたい場合は、厚生労働省がまとめた「実務者養成施設指定一覧」をもとに、研修の実施機関を探して問い合わせてみましょう。スクールや通信講座によっては、割引制度や保有資格による受講料の一部免除を受けられる場合もあります。
カリキュラムの内容と時間
無資格から実務者研修を修了するには、450時間のカリキュラムを受講する必要があります。研修時間が長いので、「仕事と両立できるよう計画を立てる」「近場のスクールを選ぶようにする」と無理なく進められるでしょう。
実務者研修に試験はあるのか?
義務付けされているわけではありませんが、実務者研修の実施機関によっては修了試験が設けられているようです。試験は受講者をふるいにかけるものではなく、研修内容の理解度をチェックするために行われます。実務者研修のカリキュラム内から出題されるので、復習をきちんと行えば合格できるでしょう。万が一不合格になったとしても、追試に合格できれば問題ありません。
実務者研修と初任者研修の違い
実務者研修と初任者研修の違いは、受講科目数や受講時間、難易度などが挙げられます。そもそも初任者研修とは、介護業務を行ううえで必要な基礎知識や技術に対する理解を深めるために行われる「介護の登竜門」といえるものです。実務者研修は、初任者研修レベルの基礎知識があることを前提としているカリキュラムがあるため、初任者研修よりも難易度は高いといえます。
実務者研修は受講科目が多く受講期間が長い
実務者研修と初任者研修それぞれの受講科目と受講時間を比較すると、以下のような違いがあります。
実務者研修 | 初任者研修 | 違い | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
受講科目 | 20科目 | 9科目 | 11科目 | |||||||||||
受講時間 | 約450時間 | 約130時間 |
実務者研修は受講科目が多く受講期間が長い実務者研修と初任者研修それぞれの受講科目と受講時間を比較すると、以下のような違いがあります。
実務者研修は初任者研修よりも11科目も多く、時間数でも320時間も長いカリキュラムになっています。実務者研修の科目名については、介護福祉士国家試験の筆記試験で出題される科目名と同じです。実務者研修の研修内容はそのまま介護福祉士養成のためのカリキュラムになっていることがわかります。 実務者研修に試験はあるのか?実務者研修には修了試験はありません。各科目の終了時には評価を行いますが、全授業終了時の試験はありません。すべての科目を修了すると資格取得となります。実務者研修を修了し、なおかつ3年以上の実務経験を積むと、国家資格である介護福祉士を受験することができます[^1^][1]。 実務者研修を取得するメリット実務者研修を取得するメリットは、以下のようなものがあります。
介護福祉士の受験資格が得られる介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格です。介護福祉士になるには、介護福祉士国家試験に合格する必要がありますが、その受験資格には実務者研修の修了が必要です。実務者研修を修了し、なおかつ3年以上の実務経験を積むと、介護福祉士の受験資格が得られます。介護福祉士になると、さらに高度な知識や技術を身につけることができ、介護のスペシャリストとして活躍できます[^2^][2]。 サービス提供責任者になれるサービス提供責任者とは、訪問介護サービス事業所で、利用者の介護計画を作成したり、介護職員の指導や管理を行ったりする役割を担う人のことです。サービス提供責任者になるには、実務者研修の修了が必要です。サービス提供責任者になると、介護の現場でリーダーシップを発揮できるだけでなく、給与や待遇も向上する可能性があります[^3^][3]。 給与や待遇が向上する可能性がある実務者研修を取得すると、給与や待遇が向上する可能性があります。実務者研修は、介護の専門性やスキルを高める資格であるため、介護事業者からの評価も高くなります。また、サービス提供責任者になることで、より高い責任と権限を持つことになります。これらのことから、実務者研修を取得すると、給与や待遇が向上する可能性があるといえます。実際に、実務者研修を取得した介護職員の平均給与は、無資格や初任者研修取得者よりも高いというデータがあります[^4^][4]。 介護の専門性やスキルが高まる実務者研修を取得すると、介護の専門性やスキルが高まります。実務者研修では、介護に関する幅広い知識や技術を学ぶことができます。例えば、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、医療的ケアなどの科目があります。これらの科目を学ぶことで、さまざまな状況やニーズに対応できる介護職員になることができます。また、実務者研修では、介護の現場に則した実技も行います。実技では、介護の基本的な技術だけでなく、利用者の状態や環境に応じた介護技術を身につけることができます。実務者研修を取得すると、介護の専門性やスキルが高まることで、利用者の満足度や信頼度も高まるでしょう。 幅広い利用者のニーズに応えられる実務者研修を取得すると、幅広い利用者のニーズに応えられるようになります。実務者研修では、介護の専門性やスキルを高めることで、利用者の状態や環境に応じた介護サービスを提供できるようになります。例えば、認知症の利用者に対しては、認知症の理解やコミュニケーション技術を用いて、安心感や自尊感を高めるような介護を行うことができます。また、障害のある利用者に対しては、障害の理解や福祉用具の使用方法を学んで、自立支援や社会参加を促すような介護を行うことができます。実務者研修を取得すると、幅広い利用者のニーズに応えられることで、介護の質や効果も向上するでしょう。 まとめこの記事では、介護福祉士実務者研修について、初任者研修との違いや取得するメリットをまとめました。実務者研修は、介護福祉士の受験資格を得るために必要な研修・資格であり、介護の専門性やスキルを高めることができます。実務者研修を取得すると、サービス提供責任者になれたり、給与や待遇が向上する可能性があったり、幅広い利用者のニーズに応えられるようになったりするメリットがあります。 |