介護の国際比較というと、どのようなイメージを持ちますか?日本は高齢化が進んでおり、介護保険制度や介護サービスが充実していると思われがちですが、実は海外にも様々な介護事情があります。
この記事では、介護の国際比較をグラフを用いて分かりやすく解説します。日本と海外の介護事情の違いを知ることで、自分や家族の介護に役立つ情報を得られるかもしれません。
介護の国際比較|高齢化率の推移
まず、介護の国際比較をする上で重要な指標のひとつが高齢化率です。高齢化率とは、総人口に占める65歳以上の人口の割合のことで、高齢化の進行度を表します。
以下のグラフは、日本と主要国の高齢化率の推移を示したものです。日本は1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、2005年には最も高い水準となり、今後も高水準を維持していくことが見込まれています。一方、アジア諸国に目を移すと、韓国やシンガポールなど、今後、一部の国で、日本を上回るスピードで高齢化が進むことが見込まれています。
出典:内閣府「令和2年版高齢社会白書(全体版)」[4]
介護の国際比較|介護保険制度の有無
次に、介護の国際比較をする上で注目したいのが介護保険制度の有無です。介護保険制度とは、高齢者や障害者などの介護が必要な人に対して、介護サービスや介護費用の一部を支給する制度のことです。
日本では、2000年に介護保険制度が導入されました。介護保険制度は、40歳以上の全国民が加入することが義務付けられており、介護が必要になった場合は、要介護認定を受けて介護サービスを利用できます。介護サービスの費用は、国や自治体が7割、利用者が3割を負担する仕組みになっています。
しかし、日本のように介護保険制度が整備されている国は少数派です。以下のグラフは、OECD加盟国のうち、介護保険制度の有無を示したものです。日本のほかには、ドイツや韓国、オランダなどが介護保険制度を導入していますが、アメリカやイギリス、オーストラリアなどは介護保険制度がありません。
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」[6]
介護の国際比較|介護サービスの内容
最後に、介護の国際比較をする上で気になるのが介護サービスの内容です。介護サービスとは、介護が必要な人に対して提供される生活支援や身体介護などのサービスのことです。
介護サービスの内容は、国によって大きく異なります。日本では、在宅介護サービスと施設介護サービスの2種類があります。在宅介護サービスとは、自宅で生活する高齢者に対して、ホームヘルパーや訪問看護師などが訪問して行うサービスのことです。施設介護サービスとは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設に入所して受けるサービスのことです。
海外では、日本とは異なる特徴的な介護サービスがあります。たとえば、スウェーデンでは、高齢者が自宅で暮らし続けるために、住宅改造資金手当制度やナイトパトロールといったサービスがあります。オーストラリアでは、介護者に対する支援が充実しており、介護者手当の支給や介護者支援センターの利用などがあります。アメリカでは、公的な介護保険制度がないため、民間の介護保険に加入するか、家族が協力して介護することが多いです。
まとめ
この記事では、介護の国際比較をグラフを用いて分かりやすく解説しました。日本と海外の介護事情の違いを知ることで、自分や家族の介護に役立つ情報を得られるかもしれません。
介護の国際比較は、高齢化率や介護保険制度、介護サービスなどの観点から行うことができます。日本は高齢化が進んでおり、介護保険制度や介護サービスが充実していますが、海外にも様々な介護事情があります。
海外の介護事情を知ることで、日本の介護制度やサービスの改善点や課題を見つけることもできるかもしれません。介護の国際比較は、自分や家族の介護に関心がある人だけでなく、介護の現場や政策に携わる人にとっても有益な情報源となるでしょう。