介護人材の確保は、高齢化社会における重要な課題です。介護人材の不足は、介護サービスの質や量の低下、介護従事者の負担増や離職率の高さ、介護待機者の増加など、さまざまな問題を引き起こします。そこで、国と地域が協力して、介護人材の確保に向けた取組を進めるために、介護人材確保地域戦略会議という制度が設けられました。この記事では、介護人材確保地域戦略会議の目的や内容、成果などについて紹介します。
介護人材確保地域戦略会議とは
介護人材確保地域戦略会議とは、厚生労働省が主催する会議で、国と地域が連携して、介護人材の確保に向けた取組を総合的・計画的に推進することを目的としています。会議のメンバーは、厚生労働省の担当者、都道府県の担当者、介護事業者、介護従事者、介護サービス利用者やその家族、地域の関係者などです。会議では、介護人材の参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善などの対策について、各都道府県の先進的な取組事例や課題、今後の方向性などについて議論されます。
介護人材確保地域戦略会議は、平成26年から令和元年までに7回開催されました。第1回から第3回までは、地域医療介護総合確保基金という制度を活用した事業展開について、第4回から第7回までは、介護離職ゼロに直結する事業の効果的な展開について、それぞれ議論されました。会議の開催報告や資料は、厚生労働省のホームページで公開されています。
介護人材確保地域戦略会議の成果
介護人材確保地域戦略会議の成果として、以下のようなものが挙げられます。
- 介護人材の必要数の推計：介護保険事業計画に基づく介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数を公表しました。これにより、介護人材の確保に向けた目標や計画を立てる際の参考となります。
- 介護に関する入門的研修の実施：介護分野への介護未経験者の参入を促進するため、介護に関する入門的研修の実施に関する基本的な事項を定め、研修実施を推進しました。これにより、より多くの方が介護を知る機会となり、介護分野で働く際の不安を払拭できます。
- 人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度の導入：職員の人材育成や就労環境等の改善につながる介護事業者の取組について、都道府県が基準に基づく評価を行い、一定の水準を満たした事業者に対して認証を付与する制度を導入しました。これにより、事業者の自助努力を促進し、優良な事業者を社会に発信できます。
- 介護現場における多様な働き方導入モデル事業の実施：リーダー的介護職員の育成を行うとともに多様な働き方、柔軟な勤務形態を介護事業所にモデル的に導入することを通じて、効率的・効果的な事業運営の方法についての実践的な研究を行い、その成果を全国に展開しました。これにより、介護現場の働きやすさや生産性の向上に寄与できます。
- 介護の仕事の魅力発信などによる普及啓発の強化：イベント、テレビ、SNS等を活かした取組を通じて、全国に向けた情報発信を行いました。これにより、多くの方が、福祉・介護の仕事について新たに関心を持ち、理解を高めるとともに、その仕事の魅力を感じられるようになります。
まとめ
介護人材の確保は、高齢化社会における重要な課題です。介護人材確保地域戦略会議は、国と地域が協力して、介護人材の参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善などの対策を総合的・計画的に推進するために設置された制度です。この会議では、各都道府県の先進的な取組事例や課題、今後の方向性などについて議論されました。また、介護人材の必要数の推計、入門的研修の実施、認証評価制度の導入、多様な働き方導入モデル事業の実施、介護の仕事の魅力発信など、様々な成果が生まれました。介護人材の確保に関心のある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
