東日本大震災から10年が経過しましたが、被災地ではまだまだ復興の課題が山積しています。特に、高齢化が進む地域では、福祉・介護人材の確保が急務となっています。原発事故による避難指示解除区域では、帰還住民の生活を支えるために、介護サービスの提供体制の再構築が必要です。本記事では、被災地における福祉・介護人材の現状と、その確保のために行われている取り組みについて紹介します。
目次
被災地における福祉・介護人材の現状
東日本大震災により、福島県相双地域等(相馬市、南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、新地町、飯舘村、いわき市、田村市)では、多くの住民が避難を余儀なくされました。その中には、福祉・介護人材も含まれており、介護施設や居宅サービスの提供が困難になりました。震災前には、約2,800人の介護人材が従事していたと推定されますが、震災後には約1,000人に減少しました[^1^][1]。
避難指示が解除された地域では、帰還住民の高齢化が進んでおり、介護サービスの需要が高まっています。しかし、介護人材の不足は依然として深刻であり、介護関係職種の有効求人倍率は全国平均の約2倍に達しています[^2^][2]。介護人材の不足は、帰還住民の生活不安や孤立感を増幅させるだけでなく、介護施設や事業所の経営も圧迫しています。被災地の介護人材は、高いモチベーションとスキルを持ちながらも、低賃金や過重労働、人手不足による負担に直面しています。
被災地における福祉・介護人材確保事業
被災地における福祉・介護人材の確保のために、厚生労働省や福島県、各種団体などが様々な取り組みを行っています。その一例として、以下のような事業が挙げられます。
- 被災地における福祉・介護人材確保事業
この事業は、相双地域等で就労意欲のある者に対して、介護職員初任者研修等の受講料や就職準備金などの奨学金を貸与するとともに、就労先や住宅の確保、応援職員の出向などの支援を行うものです。奨学金は、一定の条件を満たした場合に返還を免除されます。この事業により、福島県外からの新規採用者や避難解除区域への帰還者、養成施設の卒業生などが、相双地域等の介護施設や事業所で就労することが促進されています[^3^][3]。 - 福島介護再生臨時特例補助金(長期避難者の早期帰還のための介護サービス提供体制再生事業)
この事業は、避難指示解除区域の介護施設や居宅サービスに対して、運営支援のための補助金を交付するものです。補助金は、介護報酬の減収相当額や経営強化計画の作成費用などに充てられます。この事業により、避難指示解除区域の介護施設や事業所の運営の維持や回復が支援されています[^4^][4]。
まとめ
被災地における福祉・介護人材の確保は、復興の重要な課題の一つです。介護人材の不足は、帰還住民の生活や介護施設や事業所の経営に大きな影響を及ぼしています。しかし、様々な団体や機関が協力して、介護人材の確保や支援に取り組んでいます。被災地の介護人材は、地域の復興に欠かせない存在です。被災地で介護の仕事に就きたい方や、応援したい方は、ぜひ参考にしてください。