令和6年能登半島地震により、被災地では多くの高齢者が避難所や仮設住宅で生活しています。そんな中、介護サービスの提供や報酬の支払いにはどのような対応がされているのでしょうか?この記事では、被災地の介護報酬について、厚生労働省の通知や事務連絡をもとに解説します。
目次
1. 介護サービスの提供について
被災地では、避難所や仮設住宅などで生活している高齢者に対して、ホームヘルプやデイサービスなどの介護サービスを提供することができます。その場合は、できる限りケアプランに沿ってサービスを提供してください。
事業所が被災し、仮設の建物などでサービスを提供する場合や、職員や利用者が避難所に避難し、その場でサービスを提供する場合、これまでのサービスとの継続性が認められれば、介護報酬の算定が可能です。
ただし、以下の点に注意してください。
- サービスの提供には、利用者の同意や安全確保が必要です。
- サービスの提供には、避難所や仮設住宅の管理者や自治体の協力が必要です。
- サービスの提供には、事業所の所轄の保健所や市町村の事前の届出が必要です。
2. 介護報酬の請求について
今回の地震による災害により、サービス提供記録などを滅失や棄損した介護サービス事業所については、令和5年12月サービス提供分について、令和5年9月から11月までの3か月分の実績に基づく概算による請求を行うことができます。
また、被保険者証などを提示せずにサービスを利用した場合には、可能な限り被保険者番号などの確認を行い、請求明細書に記載してください。
さらに、以下の点に注意してください。
- 概算による請求は、令和6年1月分以降のサービス提供分には適用されません。
- 概算による請求は、令和6年3月末までに行う必要があります。
- 概算による請求は、後日、実際のサービス提供内容に基づく精算を行う必要があります。
3. 利用料の負担について
被災地では、住宅の全半壊や生計維持者の死亡などの被災状況に応じて、介護サービスの利用料の支払いが猶予や免除される場合があります。
利用料の猶予や免除がされた場合には、介護サービス事業所は、請求明細書の給付率に100と、利用者負担額に0と記載して請求することになります。
利用料の猶予や免除の対象となる被災状況は以下のとおりです。
- 住宅が全壊した場合、令和6年3月末まで
- 住宅が半壊した場合、令和6年1月末まで
- 生計維持者が死亡した場合、令和6年3月末まで
- 生計維持者が重傷を負った場合、令和6年1月末まで
4. まとめ
被災地の介護報酬について、介護サービスの提供、介護報酬の請求、利用料の負担の3点について解説しました。被災地で介護サービスを提供している事業者の皆様は、厚生労働省の通知や事務連絡を参考にして、適切な対応を行ってください。また、利用者の皆様は、窓口で被災状況を申告して、利用料の猶予や免除の対象になるかどうか確認してください。
参考文献
- 厚生労働省「被災地において介護保険サービスを提供している事業者の皆様へ」
- 厚生労働省「令和6年能登半島地震による災害に係る介護報酬等の請求等の取扱いについて」
- 厚生労働省「令和6年能登半島地震で被災された方々の介護サービス事業所等での利用料の支払いは不要です」