新型コロナウイルス感染症は、高齢者や基礎疾患のある人にとって重大なリスクとなります。介護施設では、利用者や職員の感染予防や感染発生時の対応が重要です。この記事では、介護施設における新型コロナウイルス感染症の現状や対策、クラスター発生時の対応方法などについて解説します。
目次
１．介護施設における新型コロナウイルス感染症の現状
新型コロナウイルス感染症は、2020年から世界的に蔓延し、2022年9月現在も収束の見通しが立っていません。日本では、厚生労働省が発表する国内での感染者数は、2022年9月20日時点で合計607万人、死亡者数は7万7千人を超えています[^1^][1]。
介護施設においても、新型コロナウイルス感染症のクラスターが度々発生しており、利用者や職員の感染や死亡が報告されています。例えば、2022年8月には、東京都の特別養護老人ホームで、利用者と職員合わせて約100人が感染し、うち10人が死亡したという事例がありました[^2^][2]。
介護施設での感染拡大の原因としては、以下のような要因が考えられます。
- 利用者は高齢者や基礎疾患のある人が多く、感染した場合に重症化しやすい。
- 利用者は共同生活や共同利用をすることが多く、感染者が発生すると感染が広がりやすい。
- 職員は利用者との接触が避けられないため、感染者が発生すると職員間や利用者への感染が起こりやすい。
- 利用者の中には認知機能が低下している人もおり、感染予防のためのマスク着用や手洗いなどが難しい場合がある。
このように、介護施設では、新型コロナウイルス感染症の予防や発生時の対応が非常に重要です。次の章では、介護施設での感染予防対策について解説します。
２．介護施設での感染予防対策
介護施設での感染予防対策としては、以下のようなポイントがあります。
- 利用者や職員の健康状態のチェックや体温測定を毎日行う。
- 利用者や職員はマスクを着用し、手洗いや咳エチケットを徹底する。
- 施設内の換気や清掃、消毒を定期的に行う。
- 利用者や職員の人数や密度を減らすために、グループ分けや時間帯のずらし、在宅勤務などを行う。
- 利用者の家族や外部の人との面会や訪問を制限する。
- 利用者や職員が感染症の症状がある場合は、速やかに医療機関に相談し、検査や治療を受ける。
これらの対策は、厚生労働省が作成した「介護現場における感染対策の手引き（第3版）」[^3^][3]や「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」[^4^][4]に基づいています。これらの資料には、感染予防対策の詳細や具体例が記載されているので、参考にしてください。
また、感染予防対策の一つとして、消毒液の使用があります。消毒液には、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどがありますが、いずれも新型コロナウイルスに有効性があることが分かっています[^5^][5]。消毒液は、手指や物品の消毒に使用できますが、手指消毒としては消毒用エタノールがおすすめです。消毒用エタノールは、濃度70％以上95％以下のものを使用し、手のすべての部分に行き渡るようによくすり込みます。消毒液の選び方や使い方については、以下の記事を参考にしてください。
【おすすめの手指消毒液】新型コロナウイルスに効果的な消毒液の選び方と使い方
３．介護施設での感染発生時の対応方法
介護施設での感染予防対策を行っていても、感染者が発生する可能性はゼロではありません。感染者が発生した場合は、以下のような対応方法があります。
- 感染者や濃厚接触者は、速やかに隔離する。
- 感染者や濃厚接触者の移動履歴や接触者を把握し、感染経路を特定する。
- 感染者や濃厚接触者以外の利用者や職員は、PCR検査や抗原検査などを受ける。
- 感染者や濃厚接触者の状態に応じて、医療機関への搬送や自宅療養などを行う。
- 感染者や濃厚接触者が利用した部屋や物品は、徹底的に消毒する。
- 保健所や関係機関と連携し、必要な情報や支援を受ける。
これらの対応方法は、厚生労働省が作成した「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」に基づいています。このガイドラインには、感染発生時の対応の流れやチェックリスト、事例などが記載されているので、参考にしてください。
また、介護施設での感染発生時の対応の仕方や注意点を、以下の表にまとめてみました。表を見ると、感染発生時の対応は、感染者や濃厚接触者の状態や施設の規模や種類によって異なることが分かります。感染発生時の対応は、事前に計画を立てておくことが重要です。
| 感染者や濃厚接触者の状態 | 施設の規模や種類 | 対応の仕方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 軽症または無症状 | 小規模多機能型居宅介護などの在宅サービス | 自宅療養を促す。自宅療養中の利用者の状態や生活支援の必要性を電話などで確認する。自宅療養中の利用者に対するサービス提供は原則として中止する。 | 自宅療養中の利用者に対するサービス提供を継続する場合は、感染予防対策を徹底する。自宅療養中の利用者の家族や同居者に対するサービス提供も感染予防対策を徹底する。 |
| 軽症または無症状 | 特別養護老人ホームなどの施設サービス | 施設内での隔離を行う。隔離された利用者の状態や生活支援の必要性を確認し、必要に応じて医療機関への搬送や自宅療養などを行う。隔離された利用者に対するサービス提供は感染予防対策を徹底する。 | 施設内での隔離が困難な場合は、保健所や関係機関と連携して、他の施設やホテルなどへの移動を検討する。隔離された利用者の家族や同居者に対するサービス提供も感染予防対策を徹底する。 |
| 重症または中等症 | 小規模多機能型居宅介護などの在宅サービス | 医療機関への搬送を行う。搬送後の利用者の状態や生活支援の必要性を電話などで確認する。搬送後の利用者に対するサービス提供は原則として中止する。 | 搬送後の利用者に対するサービス提供を継続する場合は、感染予防対策を徹底する。搬送後の利用者の家族や同居者に対するサービス提供も感染予防対策を徹底する。 |
| 重症または中等症 | 特別養護老人ホームなどの施設サービス | 医療機関への搬送を行う。搬送後の利用者の状態や生活支援の必要性を確認し、必要に応じて自宅療養などを行う。搬送後の利用者に対するサービス提供は感染予防対策を徹底する。 | 搬送後の利用者の家族や同居者に対するサービス提供も感染予防対策を徹底する。 |
４．まとめ
この記事では、コロナウイルスが流行った際の介護施設における対応について解説しました。介護施設では、利用者や職員の感染予防や感染発生時の対応が重要です。感染予防対策としては、利用者や職員の健康状態のチェックや体温測定、マスク着用や手洗い、換気や清掃、消毒などを行います。消毒液には、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどがありますが、 いずれも新型コロナウイルスに有効性があることが分かっています。消毒液は、手指や物品の消毒に使用できますが、使用する際には濃度や使用方法に注意してください。
感染発生時の対応方法としては、感染者や濃厚接触者の隔離や搬送、感染経路の特定や検査、施設内の消毒などを行います。感染発生時の対応は、感染者や濃厚接触者の状態や施設の規模や種類によって異なります。感染発生時の対応は、事前に計画を立てておくことが重要です。
介護施設では、新型コロナウイルス感染症の予防や発生時の対応が非常に重要です。利用者や職員の健康と安全を守るために、感染予防対策や感染発生時の対応方法をしっかりと理解し、実践していきましょう。
