介護職はサービス残業が当たり前というイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
この記事では、介護職の平均的な残業時間やサービス残業の実態、サービス残業になりやすい業務や対処法などを解説します。
介護職のサービス残業に悩んでいる方や、介護職に就きたい方の参考になれば幸いです。
目次
介護職の平均的な残業時間は?
介護職の平均的な残業時間は、施設形態や雇用形態によって異なりますが、一般的には月に6~7時間程度と言われています。
介護労働安定センターの調査によると、介護職の1週間の平均残業時間は1.6時間[^1^][1]。ひと月=4週間と考えると、単純計算で月に6.4時間の残業をしていることになります。
施設形態別の平均残業時間は以下の通りです。
施設形態 | 平均残業時間(1週間) |
---|---|
特別養護老人ホーム | 1.8時間 |
介護老人保健施設 | 1.9時間 |
有料老人ホーム | 1.7時間 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 1.5時間 |
デイサービス | 1.6時間 |
訪問介護 | 1.4時間 |
居宅介護支援 | 1.5時間 |
グループホーム | 1.5時間 |
※出典: 介護労働安定センター『令和3年度介護労働実態調査』[^1^][1]
施設形態別に見てみると、いずれも1週間の平均残業時間は2時間以下、1ヵ月でも6~7時間程度です。
「案外、平均残業時間は少ないんだな」と感じた方もいるのではないでしょうか。
介護職はシフト勤務で仕事を引き継ぐことができるため、基本的にはあまり残業が長くならない職場が多いようです。
サービス残業とは?違法性と罰則は?
サービス残業とは、残業代を支払わずに残業をさせることです。
サービス残業は、労働基準法に違反する違法行為であり、罰則があります。
労働基準法では、1日8時間、1週間40時間を超える労働は禁止されています[^2^][2]。また、法定労働時間を超えて働かせる場合は、割増賃金(残業代)を支払う必要があります[^3^][3]。
残業代の最低割増率は、通常の賃金の25%です。1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合は、通常の賃金の50%となります[^3^][3]。
サービス残業をさせると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます[^4^][4]。また、労働者に未払い残業代の請求をされた際に裁判で敗訴すると、未払いの残業代に加え、遅延損害金や付加金の支払いが命じられることもあります。
サービス残業になりやすい業務とその対策は?
介護職でサービス残業になりやすい業務としては、以下のようなものがあります。
- 勤務時間外の介護記録の記入
- 勤務時間外のミーティングや委員会
- 勤務時間外の利用者やその家族への対応
- 勤務時間外の勉強会や研修
これらの業務は、利用者のケアやシフトの都合などで、なかなか業務時間内に終わらせることができない場合があります。
しかし、これらの業務も仕事の一環であり、残業代が発生するべきものです。
サービス残業にならないようにするためには、以下のような対策が有効です。
- 業務時間内にできるだけ介護記録を記入する
- ミーティングや委員会の時間や内容を事前に決めておく
- 利用者やその家族への対応は、必要な場合は上司や同僚に相談する
- 勉強会や研修は、業務時間内に行うか、残業代をもらうかを確認する
- 残業時間を正確に記録し、残業代の支払いを確認する
サービス残業で悩んでいるときの対処法は?
サービス残業で悩んでいるときには、以下のような対処法があります。
- サービス残業の実態や理由を明確にする
- サービス残業の影響や不満を上司や同僚に伝える
- サービス残業の改善策や要望を提案する
- サービス残業の解決に向けて協力する
- サービス残業が改善されない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談する
サービス残業は、自分だけで抱え込まずに、周りの人や専門家に相談することが大切です。
サービス残業は、自分の健康や生活に影響を及ぼすだけでなく、介護の質や安全性にも悪影響を与える可能性があります。
サービス残業を放置せずに、早めに対策を講じることが、自分や利用者、職場のためになります。
まとめ
この記事では、介護職のサービス残業に関する以下の内容を解説しました。
- 介護職の平均的な残業時間は月に6~7時間程度
- サービス残業は労働基準法に違反する違法行為であり、罰則がある
- サービス残業になりやすい業務とその対策は、介護記録の記入やミーティングなど
- サービス残業で悩んでいるときの対処法は、上司や同僚に伝えたり、労働基準監督署に相談したりする
介護職は、利用者のために尽くしたいという気持ちが強い職業ですが、自分の権利や健康も大切にしましょう。
サービス残業に関する問題は、一人で抱え込まずに、解決に向けて動き出しましょう。