男子マラソン世界記録の歴史と最新情報
男子マラソンの世界記録は、2023年10月8日にアメリカ・シカゴで行われたシカゴマラソンで、ケニアのケルビン・キプタムが2時間0分35秒で樹立しました。これは、前記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2022年9月25日にベルリンマラソンで出した2時間1分9秒を34秒も更新する驚異的な記録です。人類初の2時間切りも現実味を帯びてきましたが、その背景にはどのような歴史があるのでしょうか。この記事では、男子マラソン世界記録の推移と最新情報を紹介します。
男子マラソン世界記録の推移
男子マラソンの世界記録は、1908年のロンドンオリンピックで、ジョニー・ヘイズ(アメリカ)が2時間55分18秒で樹立したのが最初です。このときは、マラソンの距離が初めて42.195キロメートルに統一されました。その後、記録は徐々に縮まり、1935年には日本の鈴木房重が2時間27分49秒、池中康雄が2時間26分44秒、孫基禎が2時間26分42秒と、日本勢が世界記録を次々と更新しました。
1960年のロンドンオリンピックで、シューズを履かずに走ったアベベ・ビキラ(エチオピア)が2時間15分16秒で金メダルを獲得し、世界記録を樹立しました。その後、日本の寺沢徹が2時間15分15秒で更新しましたが、1964年の東京オリンピックで、再びアベベ・ビキラが2時間12分11秒で金メダルを獲得し、世界記録を更新しました。日本の円谷幸吉が2時間16分22秒で銅メダルを獲得しました。
1970年代に入ると、デレク・クレイトン(オーストラリア)が2時間10分を切り、2度の世界記録更新を果たしました。1981年には、ロバート・ド・キャステラ(オーストラリア)が2時間8分18秒で更新し、1984年にはスティーブ・ジョーンズ(イギリス)が2時間8分5秒で更新しました。1985年には、カルロス・ロペス(ポルトガル)が2時間7分12秒で更新し、1988年にはベライン・デンシモ(エチオピア)が史上初の2時間6分台となる2時間6分50秒で更新しました。
1990年代に入ると、ケニア、エチオピア勢が世界記録を独占するようになりました。1998年にはロナウド・ダ・コスタ(ブラジル)が2時間6分5秒で更新しましたが、1999年にはハーリド・ハヌーシ(モロッコ)が2時間5分42秒で更新し、2002年には自身の記録を4秒更新しました。2003年にはポール・テルガト(ケニア)が2時間4分55秒で、世界は2時間4分台に突入しました。
2007年にはハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が2時間4分26秒で更新し、翌2008年には自身の記録を更新し、初の3分台となる2時間3分59秒をマークしました。2011年にはパトリック・マカウ(ケニア)が2時間3分38秒、2013年にはウィルソン・キプサング(ケニア)が2時間3分23秒、2014年にはデニス・キプルト・キメット(ケニア)が2時間2分57秒とケニア勢が次々と記録を更新しました。
男子マラソン世界記録の最新情報
2018年には、ペースメーカーを置き去りにしたエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間1分39秒の世界新記録を樹立しました。キプチョゲは、2019年にオーストリアのウィーンで行われた特別レースで、41人のペースメーカーのサポートを受けて、史上初の「サブ2(2時間切り)」となる1時間59分40秒をマークしましたが、非公認となりました。2022年には、ベルリンマラソンで自身の記録を30秒更新し、2時間1分9秒の世界記録を樹立しました。
そして、2023年のシカゴマラソンで、キプタムが驚異的な走りを見せ、ついに2時間0分台に突入しました。キプタムは、2022年12月のバレンシアマラソンで2時間1分53秒という初マラソン世界最高をマークした23歳で、マラソン3戦目で世界新を叩き出しました。キプタムは、ハーフを1時間0分48秒で通過すると、30キロ過ぎから猛スパートをかけ、後半のハーフはなんと59分47秒で走り抜けました。人類初の2時間切りも現実味を帯びてきましたが、その背景にはどのような要因があるのでしょうか。
2時間切りに迫る要因
2時間切りに迫る要因として、以下のようなものが考えられます。
- シューズの進化:近年、ナイキが開発した「ヴェイパーフライ」シリーズのシューズが話題になっています。このシューズは、カーボンプレートと高反発素材を組み合わせた構造で、走行効率を高めるとされています。キプタムもこのシューズを履いて世界記録を更新しました。他のメーカーも同様のシューズを開発しており、シューズの性能が記録に影響している可能性があります[^1^][1] [^2^][2]。
- コースの選択:キプタムが世界記録を樹立したシカゴマラソンは、平坦で直線の多いコースで、風もほとんどないという理想的な条件でした。また、気温も10度前後と、マラソンに適した範囲でした。コースの特徴や気象条件は、記録に大きく影響する要素です[^3^][3] 。
- ペースメーカーのサポート:キプタムは、ペースメーカーのグループによって引っ張られる形で走りました。ペースメーカーは、キプタムの前方でV字型のフォーメーションを作り、風の抵抗を減らし、一定のペースを維持する役割を果たしました。ペースメーカーは、5kmごとに入れ替わり、キプタムの負担を軽減しました。ペースメーカーのサポートは、記録に1分以上の差をつけると言われています 。
以上のように、2時間切りに迫る要因は、シューズの進化、コースの選択、ペースメーカーのサポートなど、様々なものが組み合わさっていると考えられます。しかし、それらの要因をすべて揃えても、2時間切りを達成するには、キプタムのような驚異的なスピードとスタミナが必要です。キプタムは、マラソンの歴史に新たな1ページを刻みましたが、次に2時間切りを目指すランナーは誰になるのでしょうか。人類の限界に挑戦するランナーたちの活躍に注目したいと思います。
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