車椅子での移動ケアは、介護者と利用者の双方にとって重要なスキルです。しかし、正しい方法や注意点を知らないと、転倒や皮膚剥離などの事故やトラブルにつながる可能性があります。この記事では、車椅子での移動ケアのポイントや手順を解説します。
車椅子での移動ケアの基本
車椅子での移動ケアには、介護者側の気遣いが大切です。移動中の通路は、平らな場所だけではありません。段差があったり、斜面があったりします。そのためには車椅子の性能を理解し、安全・安心な移動を心掛けなければなりません。また、被介護者の体調の観察も必要です。
車椅子での移動ケアの基本的な注意点は以下の通りです。
- 停まる時や、車椅子から離れる場合は、必ずストッパーをかける習慣を付けましょう。
- 狭い場所などを通過する場合は、被介護者の手足が障害物とぶつからない様に注意しましょう。
- 車椅子に乗っている人は、押している人よりスピードを感じますので、常に確認しながら進みましょう。
- 車椅子での方向転換は、バランスを崩しやすいので、ゆっくりと行いましょう。
- 車椅子から手を離さない様にしましょう。
車椅子での移動ケアの応用
車椅子での移動ケアには、様々な場面や状況に応じた応用が必要です。例えば、杖歩行や片麻痺の方の移動介助、車椅子とベッド間の移乗介助、階段や斜面での移動介助などがあります。これらの場合は、それぞれの特徴やポイントを理解して、正しい手順で行わなければなりません。
杖歩行や片麻痺の方の移動介助では、介助者は必ず患側に立ってサポートを行います。介助を受ける方には杖を健側に持ってもらいましょう。車椅子の移動介助では、患側の腕が車椅子の後輪に擦れていないか適宜確認しましょう。患側には痛覚がないため、皮膚剥離を起こす可能性があります。また、片麻痺の場合、移動介助のみならず、移乗介助にも配慮や注意が必要です。ベッドと車椅子間・車椅子とトイレ間での移乗介助の際は、必ず健側から移るようにしましょう。麻痺側から移乗を行うと、姿勢が崩れて転倒しやすくなります。
車椅子とベッド間の移乗介助では、以下の手順で行います。
- 麻痺や骨折などのない健側のベッド脇に車椅子を15~30度の角度で斜め置きする。
- フットレストが上がり、ブレーキがかかっているか確認する。
- 車椅子の座面とベッドが水平になるように調節する。
- ベッドに浅く腰かけてもらい、患側の臀部を介助者の腕で手前に引き出す。
- 健側の手で介助者の肩を握ってもらい、双方の重心を近づける。
- 介助を受ける方の上半身を前屈させながら、タイミングを合わせて立ち上がる。
- 健側の足を軸にして方向転換し、車椅子にゆっくりと座る。
- フットサポートを下ろし、介助を受ける方の両足を乗せる。
階段や斜面での移動介助では、一人では無理ですので、周りに協力を求めます。上りの場合は正面から、下りの場合は後ろ向きで行います。
- 車椅子を停め、ストッパーをしっかりとかけます。
- 被介護者に階段である事を伝えます。
- 介護者達は、ぞれぞれグリップ・アームレスト・後輪・サポートパイプなどを逆手にしっかり持ち、声掛けをしながら持ち上げます。
- 車椅子が水平に近い状態を保ちながら進みます。
まとめ:車椅子での移動ケアは、介護者と利用者の双方にとって重要なスキルです。正しい方法や注意点を知らないと、転倒や皮膚剥離などの事故やトラブルにつながる可能性があります。車椅子での移動ケアのポイントや手順を理解して、安全・安心な移動を心掛けましょう。
項目 | 内容 |
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車椅子での移動ケアの基本 |
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車椅子での移動ケアの応用 |
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